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働きながら介護をしている方の人数は約365万人!

総務省統計局の実態調査「令和4年就業構造基本調査」によると、介護をしている方は629万人

その中でも、働きながら介護をしている方は、男性が157万人、女性が208万人です。

数が膨大なので漠然としていますが、約365万人と半数近くにものぼり、多くの方が介護をしながら仕事をしていることがわかります。

年齢層別で見ると、働きながら介護をしている方の割合が多いのは、男女ともに50〜54歳で、それぞれ88.5%、71.8%でした。
50〜54歳の世代は、社内でも役職についている方も多く、介護離職によって社内に与える影響は大きいと言えます。

介護離職とは、家族の介護のために仕事を辞めること

まず、「介護離職」とは何か。
家族や親族などの介護のために、仕事を辞めることを指します。


例えば、ご家族が転倒などによって骨折してしまったとします。車いすでの移動が必須になり、今後ずっと介護が必要な状態になってしまう場合もあるでしょう。
そうなると、とても仕事をしながらでは介護ができず、仕事を辞めざるを得ない…というような状況に陥ってしまうケースもあります。

上記のように、現代では、介護離職が年間10万人以上いるのが現状です。過去15年間の推移をみても、2007年から2017年にかけては減少傾向でしたが、2017年から2022年にかけては増加しており、社会問題化しています。
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後悔してからでは遅い?介護離職のデメリット

介護離職のデメリット1|築いてきたキャリアの分断

介護をしながら仕事をされている方のうち、一番多かったのが「一般社員(役職なし)」の方(58.6%)で、次が主任・課長補佐・係長など役職をお持ちの方(15.4%)が多い結果でした。

その他、課長クラス、部長クラス、役員クラスもあわせると、4割ほどが介護離職時に役職を持っていたということがわかっています。

しかし、介護離職をすることで、その方がこれまで築いてきたキャリアを失ってしまう可能性があります。

介護離職のデメリット2|精神的・肉体的な負担増

介護離職をされた方に対し、離職後の負担の変化を問う質問では以下のように回答されています。

離職後の負担の変化

  • 精神面で「非常に負担が増した」35.7%、「負担が増した」30.5%。(計66.2%)
  • 肉体面で「非常に負担が増した」26.6%、「負担が増した」36.6%。(計63.2%)



仕事を辞め、介護に専念したにもかかわらず、離職前より、かえって負担が増したと感じている方が半数以上にのぼるという結果となりました。

家族それぞれにさまざまなケースが考えられますが、例えば、仕事を辞めて収入が減ったことで以前まで利用していた介護サービスを減らし、家族の負担が増える場合もあるようです。

「介護離職をして負担が減り、良かった」と感じる人が多いとは言い切れません。
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介護離職のデメリット3|収入源がなくなる

同調査では、7割近くの方が、「介護離職による経済面の負担が増した」と回答しています。

経済面の負担に関する調査結果

  • 経済面で「非常に負担が増した」(29.4%)
  • 経済面で「負担が増した」(38.2%)


仕事を辞めることで、収入源が少なくなるのは確実です。
それにより、金銭的に選べる介護サービスの選択肢が狭まってしまうというケースが想定されます。また、年齢的に自身の老後資金も考えなければならず、ますます経済的な苦しさを感じる方もいらっしゃるでしょう。

介護離職者の多くは、仕事を続けたい

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「仕事と介護の両立等に関する実態把握のための調査」では、介護離職をした方が、「仕事を辞める」決断に至った理由についても調査されています。結果は以下の通りです。

介護離職理由

  • 1位「(仕事を続けたかったが、)勤務先の両立支援制度の問題や介護休業等を取得しづらい雰囲気等があった【勤務先の問題】」(43.4%)
  • 2位「(仕事を続けたかったが、)介護保険サービスや障害福祉サービス等が利用できなかった、利用方法がわからなかった等があった【サービスの問題】」(30.2%)
  • 3位「(仕事を続けたかったが、)手助・介護が必要な家族、その他家族・親族の希望等があった【家族・親族等の希望】」(20.6%)


上記データを見ても、「仕事を続けたかったが」とあり、介護離職をされた方の多くが就業継続の意思はあったにもかかわらず、「仕事を続けられなかった」という状況なのです。

介護離職を防ぐためにできること

介護離職は、ご本人も不本意な決断であることが多い現状。
ひいては、被介護者にとっても、望ましい状態ではありません。

介護離職を防ぐために、何ができるでしょうか。
国の制度や、企業での福利厚生などについて解説します。

介護離職を防ぐ方法1|育児・介護休業法を活用しよう

日本には、仕事と介護の両立を支援するために設けられた「育児・介護休業法」という法律があります。

法律で定められた制度なので、就業規則に記載がなくても、申し出によって利用でき、妨げられることはありません。

介護離職者を減らすために国が用意している主な支援を紹介します。

国の支援制度

  • 介護休業  
    要介護状態の対象家族を介護するための休業。(ある程度まとまった日数)対象家族1人につき3回まで、通算93日まで休業可能。
  • 介護休暇制度  
    要介護状態の対象家族介護や世話をするための休暇。(突発的な休み)年間最大5日間、2人以上の場合は10日間取得可能。
  • 法定時間外労働・ 深夜業の制限  
    会社は対象者に、1ヶ月24時間、1年150時間を超える法定時間外労働をさせることができない。また、午後10時から午前5時までの深夜に労働させることもできない。
  • 勤務時間の短縮措置  
    要介護状態の家族を介護するために、勤務時間を短縮できる制度。対象家族1人につき、利用開始の日から連続する3年以上の期間で2回以上可能。
  • 介護休業給付金   
    対象家族を介護するために休職する場合、給料が最大で67%支給される制度


対象者や利用て続く方法など、より詳しく知りたい方は、厚生労働省の特設サイト「介護休業制度」をチェクしてみてください。労働者向けにわかりやすく解説がされています。

介護離職を防ぐ方法2|介護保険制度を知ろう

介護保険は、介護が必要な方へ、費用を給付する保険のこと。

社会全体で介護が必要な方を支える制度であるため、40歳になると介護保険加入が義務づけられ、保険料の支払いが必要になります。
そして、介護保険は税金と保険料で運営されています。

国の制度についてさらに知りたい方は、厚生労働省の運営しているホームページ 介護離職ゼロ ポータルサイトをご参照下さい。
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介護離職を防ぐ方法3|介護サービスをうまく使おう

まずは、自宅近くの市役所や区役所などで要介護認定をしてもらい、介護のプロである「ケアマネジャー」に相談しましょう。

現在は介護サービスも多様化しており、訪問介護サービスや、在宅介護・デイサービスなどさまざまあります。

介護度によって、在宅での介護が難しい場合は老人ホーム・介護施設への入居を検討するのもひとつの手段です。

介護離職を防ぐ方法4|人を頼り、企業の福利厚生を知ろう

それぞれの都道府県には、地域包括支援センターが設置されています。

ご自身がお住まいの地域の、相談窓口を把握しておくことも大切です。
今後のやるべきことを見つけるためにも、相談してみましょう。

また、勤務先に相談することで、企業の福利厚生で利用できるものを提示してもらえる可能性もあります。

ひとりだけで解決しようとするのではなく、家族・兄弟・親族を含め、しっかりと話し合うことが重要です。

不安や負担を軽減するためにも、かかえこまずに相談してみてくださいね。
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チャーム・ケア・コーポレーションの福利厚生

チャームケアは、介護サービスを担う企業として、自社の従業員が介護離職に追い込まれることがないよう、福利厚生として「介護休暇」を充実させています。

スタッフのご家族に介護が必要になったときには「介護休暇」を利用することが可能です。

介護休暇の取得実績もあるので、「言い出しにくい…」といった雰囲気もありません。

結婚・出産・介護などライフステージの変化を経てもチャームケアが長く働ける企業であるために、働きやすい環境づくりに注力しています。

介護離職を防ぐためのサービス拡充の取り組み

チャームケアでは、より広い意味で介護離職を防ぐために、営業側でもサービス拡大に取り組んでいます。

各企業にアプローチして、会社の福利厚生としてチャームケアのサービスを取り入れるご提案をしています。

つまり、その会社の従業員のご家族様がチャームケアのホームにご入居される際に、割引などの特典をおつけするということです。

企業にとっては、ノウハウと経験のある人材を介護離職により手放さずにすむので、メリットがありますよね。

チャームケアの知名度を高めていくためにも、これからも拡大させていきます。

※介護離職についてインタビューで触れているチャームケアの不動産部営業課、日野さんの記事はコチラ!(↓)

この記事の監修・アドバイザー

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大野世光(おおのひろみつ)

2017年10月1日、株式会社チャーム・ケア・コーポレーションに入社。
介護系大手企業でスーパーバイザーなどを歴任し、
チャーム・ケア・コーポレーションのホーム長を経て、
教育研修室にてスタッフの教育を実施。
2022年7月から、教育研修部副部長 兼 介護DX推進課長に就任。
介護支援専門員資格、社会福祉主事任用資格を所持。

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