子育てが一段落したタイミングで看護学校へ入学

――小林さんのご経歴をお聞かせください。

2019年8月、看護師としてチャームケアに中途入社しました。
長く勤めた最初の病院を辞めた際、失業保険の申請に行ったハローワークで、たまたまチャームケアの求人を見かけたことがきっかけでした。

実は、私は子育てが一段落したタイミングでもあった39歳のときに、看護学校へ入学しました。父親が退職してから宅建の資格を取得していたこともあり「このまま専業主婦で終わりたくない。もう一度何かを頑張りたい」という思いが芽生えました。

年齢制限のない資格を探していたときに、看護師が目に留まりました。家の近くに看護学校があったこと、奨学金が受けられれば家計の負担にはならないことが決め手になり、看護師として第二の人生を歩む決意をしました。

看護学校を卒業後は奨学金の関係上、指定の病院で3年勤めるルールがありました。3年が経過した後も、病院内のデイケアや訪問看護を経験しましたが、通勤時間が長かったことや、残業も多くワークライフバランスが崩れていたことで「もう少し家庭の時間も大切にしたい」と思うようになり、チャームケアへの転職につながりました。

※小林さんと同じホーム:チャーム奈良三郷の介護スタッフへのインタビュー記事はこちら
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ご入居者様のちょっとした変化に気づく大切さ

――病院の仕事と、老人ホームの仕事に違いはありましたか。

想像していた以上に、違いがありました。
病院での看護の仕事は、病気が介抱に向かうために治療に関わることですが、老人ホームは健康を維持していただくためのお手伝いが基本です。

毎日の観察や会話でいつもの状態を把握したうえで、ちょっとした変化への気づきが大切になってきます。2年くらい勤めた頃にやっと「こういう看護もあるんだな」とわかってきた感じですね。

先日、お食事が進まなかったご入居者様がいらっしゃり、「お薬が飲めなかったんですが、どうすれば良いですか」と、介護スタッフから相談を受けました。お薬は、血糖コントロールの薬と血圧を下げる薬でした。

「血圧が80~90だから、もう血圧を下げる薬は飲まなくても良いのでは?お食事を食べられないんだったら、血糖値を下げる薬も必要ないような…」と感じたため、提携のクリニックに電話をかけ、投薬治療の中止を確認しました。

近くにいて、毎日接しているからこそ、気づけることがあります。
ご入居者様はお年を召した方が多いため、個人差はあれど認知症を患っている方も多くいらっしゃいます。暑い・寒い、トイレに行きたい、喉が渇いている、といった感覚を認識する力も少し衰えているため、ご本人様の訴えを待っているだけでは遅いケースがあるのです。

自分の状況を言葉で満足に伝えられない子どもと接するように、察する力、気づく力、予想する力が必要だな、と感じます。ある意味、子育ての経験も活かせていますね。

看護学校での経験がチームナーシングにも活きる

――一緒に働いている他の看護師の方について、お聞かせください。

チャーム奈良三郷には、私を含めて3名の看護師がいます。
お一人は消化器内科で7年勤務され、半年前に育休から復帰された若い看護師です。もう一人は看護師歴も長いベテランの先輩で、チャーム奈良三郷以外でも老人ホームで勤務された経験のある方です。
ここに至るまでの経験も三者三様で、とてもバランスの良いメンバーです。

円滑なコミュニケーションや密な連携は、看護業務においてとても重要です。
自分よりも一回り以上年の離れた世代と積んだ看護学校でのさまざまな経験が、現在のチームナーシングに活かせていると感じます。
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やりがいは看護師としてご入居者様のお役に立てること

――小林さんの看護師の仕事のやりがいを教えてください。

ご入居者様の変化に気づき行動した結果、それがご入居者様の役に立ったときにやりがいを感じます。

ポータブルエコー(以降、エコー)の活用で膀胱癌が見つかったり、前立腺に結石があることがわかったりと、病気の早期発見につながって、ご入居者様が治療に専念できたときは、「本当に良かった!」ととても嬉しく思いました。

介護スタッフからの情報がきっかけになったこともありました。
「便秘があり、尿も12時間出ていないご入居者様がいる」と、介護スタッフから連絡を受けて、エコーで確認したところ、便秘ではなく膀胱が1リットル以上の尿を抱えていることで、直腸が閉塞されて便が出ていないことがわかったんです。

ご本人様は「尿は少し出ているから問題ない」と仰っていましたが、エコーで確認したからこそ出ているのはごく一部、という事実が判明しました。治療につなげられ、症状も改善したときには、看護師として役に立てた!という気持ちが込み上げてきました。

現在は、エコーのアドバンストレーナーとして、他のホームでも導入を推進するため、使い方をレクチャーしたり画像の見方を説明したり、とエコーの導入・拡充をサポートしています。
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成功事例の共有でエコーの活用を推進

――エコーの拡充について、具体的にどのような活動をされていますか。

エリアごとに1~2名のアドバンストレーナーが配置されており、月に一度開催される会議で、エコーの活用状況を共有しています。

担当しているホームへは、2~3ヶ月に一度訪問し、「困っていることはないですか」とお伺いしたり、一緒にエコー画像を確認したりしています。
読影が難しい場合や判断に迷うケースは、エコーの先生に診てもらうこともあります。この読影で隠れていた病気が見つかったこともあるほど、重要な業務です。

最初からスムーズにエコーの導入が進んだわけではありません。
当初は奈良三郷でも、「手間が増えるだけかもしれない」というような、消極的な意見もありました。一緒に働く看護師さんにすらエコーの必要性を理解してもらえないのに、他のホームで働く看護師さんに使ってもらえるわけがない!と奮起し、まずは私自身が積極的に活用して、成功事例を積み上げていきました。

現在では、撮ったエコー画像をみんなで確認して意見を出し合い、ご入居者様のケアにつなげています。奈良三郷では、ご入居者様全員のエコーを撮ったと言っても過言ではありません(笑)。

ご入居者様の体の不調が解消されていくので、健康に導けているという実感も湧きます。私だけでなく、奈良三郷の2名の看護師さんは、他のホームでレクチャーできるレベルまで、理解を深めていらっしゃるんですよ。

エコーがなければ、他のホームの看護師さんと交流することもありませんでした。エコーの導入がご入居者様の不調改善に役立つという成功事例が看護師さんの共感を得られ、活用が進んだときは、本当に嬉しい気持ちでいっぱいになります。

最初は「なんで私がアドバンストレーナーに?」と思っていたのですが、今では私に白羽の矢を立ててくれた前ホーム長に感謝しています!

先日行われた月1回の会議で、今期はエリアに関係なく、エコーの使用回数が0回のホームをなくすという目標が決まりました。エコーの導入で、病気の早期発見など成功体験がひとつできれば、認識が変わると思います。
目標達成に向けて、引き続きエコーの拡充に活動的に取り組んでいきます。

※エコーの活用について、チャーム京都音羽の樋口さんへインタビューした記事はこちら

看護師はチャレンジする価値がある仕事

――小林さんの今後の目標をお聞かせください。

せっかく生まれてきたんだから、何のために生まれてきたのか、何ができるのかを考えながらステップアップしていきたいです。
看護学校に入ったときは、専業主婦のまま終わりたくないという気持ちが、看護師へと導いてくれました。

実は長女も次女も、チャームケアのホームで看護師として勤務しているんです!
看護学校入学当時、長女は中一だったのでとても感慨深いです。まさか子どもたちが同じように看護師になるとは夢にも思いませんでした。看護学校で勉強すること、看護師として働くことをポジティブに話していたので、良いイメージを持ってくれたんだと思います。
看護師は、チャレンジする価値がある仕事だと考えているので、同じ道を選んでくれたことがとても嬉しいです。

アドバンストレーナーの役割がそうだったように、日々の業務に真摯に向き合うことが、思いがけないオファーを引き寄せるのかもしれません。自分の可能性を信じて、ご入居者様のお役に立てるよう、これからも前向きに頑張っていきたいです。

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