介護における「人員配置基準」

人員配置基準とは、ご入居者様またはご利用者様の人数に対して、必要な専従介護スタッフの数を定めた、介護保険法に則ったルールです。
介護職員及び看護職員の総数は、常勤換算方法で、入所者の数が三又はその端数を増すごとに一以上とすること。
via ※介護保険法第88条より抜粋
一般的な介護施設では、ご入居者様またはご利用者様の数と介護職員の人員配置基準は「3:1」と定められています。これは、ご入居者様またはご利用者様3人に対して、介護職員1人を配置することを意味します。

人員配置基準は、ご入居者様が必要とする介護サービスを、安全に快適に受けられることを目的としています。万が一、不慮の事故や、緊急を要する事態が発生しても、即座に適切な対応ができるよう、各介護施設には十分な人員の確保が求められているのです。

なお、株式会社チャーム・ケア・コーポレーションが運営する介護付有料老人ホームに関しては、各ホームのWEBサイトの施設概要欄にて、「介護に関わる職員体制」の表記で、人員配置基準を明記しています。
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介護施設・サービス別の人員配置基準

介護施設・サービスごとに人員配置基準は異なります。代表的な介護施設で、確認していきましょう。

介護付き有料老人ホームの人員配置基準

介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間常駐し、日常生活のサポートが受けられる入居型の介護施設です。

なお、チャームケアが運営するチャームプレミア グラン、チャームプレミア、チャームスイート、チャームは介護付有料老人ホームに当たります。
職種 人員配置基準
介護職員 看護職員と合わせて、要介護者3人に対して1人以上(常勤換算)
看護職員 入居者30人までは1人以上
入居者50人増ごとに1人追加
生活相談員
機能訓練指導員
ケアマネージャー
1人以上(常勤換算)
生活相談員は、介護施設などの利用にあたって、ご入居者様やそのご家族様からの相談を受け付けたり、実際の入居手続きをお手伝いする役割を担います。

また、機能訓練指導員は、理学療法士や作業療法士、柔道整復師などの資格を有し、ご入居者様の日常生活の維持・向上をサポートする役割があります。

ケアマネージャーは、介護保険が適用されるサービスを利用する際のケアプランを作成したり、介護施設とご入居者様をつなぐ調整役になります。

訪問介護サービスの人員配置基準

訪問介護とは、介助が必要な方のご自宅にお伺いし、食事や入浴・排泄など、一定時間の日常生活をサポートする介護サービスです。
職種 人員配置基準
介護職員 各事業所に2.5人以上(常勤換算)
サービス提供責任者 利用者40人に対して1人以上(常勤換算)
※介護職員と兼務可(常勤換算の場合)
管理者 1人以上(常勤換算・介護職員と兼務可)

デイサービスの人員配置基準

デイサービスとは、介助が必要な方が、通所により食事や入浴・排泄などの日常生活のサポートが受けられたり、レクリエーションに参加できたりする介護サービスです。
職種 人員配置基準
介護職員 利用者15人に対して1人以上
利用者16人以上は、5人増ごとに1人追加
看護職員
機能訓練指導員
1人以上
管理者 1人
生活相談員 事業所ごとに1人
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常勤換算の考え方とは

人員配置基準を確認するうえで、欠かせない「常勤換算」について解説します。

介護施設・サービスは、正職員だけでなく、パートやアルバイト、時短勤務の職員などさまざまな働き方があります。フルタイム勤務ではない非常勤スタッフを、常勤スタッフと同様に1名とカウントすることはできません。

「常勤換算」とは、非常勤スタッフの勤務時間を、常勤スタッフなら何人分かを換算するルールです。1つの施設・事業所で働く平均の職員数、と考えると分かりやすいかもしれません。

【常勤換算の計算式】
非常勤スタッフの総労働時間(合計)÷常勤スタッフ1人当たりの労働時間


以下のようなスタッフが働く介護施設の例で計算してみましょう。

スタッフ1(常勤スタッフ):40時間/週
スタッフ2(常勤スタッフ):40時間/週
スタッフ3(非常勤スタッフ):35時間/週
スタッフ4(非常勤スタッフ):20時間/週
スタッフ5(非常勤スタッフ):15時間/週
※常勤スタッフは1日8時間・週5日勤務と仮定

①非常勤スタッフの総労働時間=35+20+15=70時間
②非常勤スタッフの総労働時間÷常勤スタッフ1人当たりの労働時間=70÷40=1.75
③常勤スタッフ+非常勤スタッフの常勤換算=2+1.75=3.75
この介護施設の常勤換算人数は3.75人となります。

常勤換算は、実際に介護の仕事に携わっている時間が計算の基準になる点に注意が必要です。
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介護における人員配置の注意点

介護施設や介護サービスを提供する事業所において、人員配置を考える際、注意すべき点を確認します。

必ず余裕を持った人員配置を

介護業界に限ったことではありませんが、体調を崩したり、家庭の事情で急に退職するスタッフが出る場合があります。

介護施設は、ご入居者様・ご利用者様がいらっしゃるため、そういった場合も業務量を減らすことはできません。
残るスタッフの業務が増え、さらに体調を崩すスタッフが出てしまう悪循環になることもありえます。新たにスタッフを募集しても、すぐに応募が集まる保証はありません。

介護サービスの安定的な供給と、働くスタッフに負担をかけない職場環境のためにも、余裕を持った人員配置が大切です。

違反した場合、罰則を受けるケースも

人員配置基準に満たない場合や、基準を満たしていないのに満たしているように虚偽の報告を行った場合には、事業所の指定取消や営業停止などの行政処分を受ける可能性があります。

例外・緩和措置の適用

関連法の改正が行われる場合は、経過期間が設けられ一時的に人員配置基準が緩和されるケースがあります。また、新型ウィルスの感染拡大などの緊急事態時にも、厚生労働省から例外的に特別措置が発表されています。

チャームケアの介護DXへの取り組み

チャームケアでは、余裕を持った人員配置にもつながる、働くスタッフの負担軽減と、ご入居者様の快適な暮らしを実現する介護DXに、積極的に取り組んでいます。

チャームケアの介護DXの一例

  • ご入居者様の情報をスタッフ全員で即座に連携し、身につけていても動作の邪魔をしないイヤホン型インカムの導入
  • ご入居者様の睡眠データから自動で体位変換を促し、夜間の居室への訪問回数を減らすエアマットレスの導入
  • ご入居者様の食事の際の自立をサポートする、食堂での配膳ロボットの運用など


上記はチャームケアにおける介護DXの取り組みの一部です。
スタッフが気持ちよく働ける、ご入居者様にとってもホームでの暮らしが充実する、どちらか一方ではなく、どちらにもメリットがある取り組みを行っています。

※チャームケアの介護DXへの取り組みをまとめた記事はこちら
※現在はほぼ全てのホームに導入されたインカムについての記事はこちら
※チャームケアが挑戦する新たな取り組みについてはこちら

まとめ

ここまで、介護施設や介護サービスを提供する事業所に定められた、「人員配置基準」について解説してきました。

介護業界は、人手不足の深刻な課題に直面しています。
高齢社会に突き進む今後、さらにその状況は悪化する可能性があるため、現在の介護施設の入居者数または利用者数と介護職員「3:1」から「4:1」へ緩和の動きも見られています。

チャームケアは、介護DXを含めたさまざまな取り組みで、これからも職場環境の改善に努めていきます。

この記事の監修・アドバイザー

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大野世光(おおのひろみつ)

2017年10月1日、株式会社チャーム・ケア・コーポレーションに入社。
介護系大手企業でスーパーバイザーなどを歴任し、
チャーム・ケア・コーポレーションのホーム長を経て、
教育研修室にてスタッフの教育を実施。
2022年7月から、教育研修部副部長 兼 介護DX推進課長に就任。
介護支援専門員資格、社会福祉主事任用資格を所持。

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