アートギャラリーホーム事業について

アートギャラリーホーム事業とは、チャームケアが運営する介護付有料老人ホームに、絵画やオブジェ等の芸術作品を取り入れようという事業のこと。

展示作品は、芸術・美術大学などの学生、または卒業生などの作家から募集しており、「育てる(作品の買上と継続的支援)」「発信する(作品展示)」「学ぶ(アートプログラム)」の3つの柱で構成されています。
この事業で大切にしていることは、次の2つ。

若手アーティストの方々のフレッシュな感性やエネルギーが、ご入居者様やご家族様の心を元気づけ、癒してくれること。
また、若手作家の方にとって作品発表のチャンスにつながるとともに実績作りの場になること。

チャームケアでは、2014年からこれまでにのべ約1,000点に及ぶ優れた作品をホームに展示してまいりました。

※アートギャラリーホームについての詳細はこちら。
この度、アートギャラリーホーム事業の「育てる」「発信する」の2つの柱の一環で、「第19回アートギャラリーホーム作品募集」という絵画の公募コンクールを行いました。

今回は、グランプリを受賞された渡部未乃氏にインタビューを行いました。
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30代で油絵を本職として自立

──まずは自己紹介をお願いします。

渡部:
渡部未乃です。現在油絵画家として活動しています。

学生時代は、多摩美術大学で油絵を学びました。
卒業後は就職しようと思っていましたが、やはり絵を描き続けたいと思い、内定を辞退して大学院へ。
大学院でも引き続き、油絵の勉強をしていました。
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大学院卒業後は、派遣会社に登録し週5で事務や受付で働きながら、絵の制作を続けていました。

現在は、おかげ様で絵の仕事だけに専念できています。
20代の頃はとても苦労したので、ありがたい日々だなあと思っています。

越田:
大阪本社・人材開発課の越田直司です。
採用の責任者として、自社の採用オウンドメディアである「チャームPOINT」の企画・編集や人選などの取りまとめを行っています。
よろしくお願いします。

菊水:
首都圏事業部・広報ブランド推進課の菊水尚です。

大学では美術史専攻で、学芸員の資格を持っていたのと、実家がギャラリー経営をしていたこともあり、上司から「アートギャラリーホーム事業に関わってみない?」とお声かけいただき、現在アートギャラリーホームを担当しています。

経験や学んできた知識を活かせて、嬉しく思っています。

作品が多くの人の目に触れる喜び

──渡部さんのチャームケアとの関わりについて教えてください。

渡部:
アートギャラリーホームがはじまった8年前、私は大学院生でした。
その頃、ちょうどチャームケアの担当の方が大学に来られていて、当時の担当教員から「老人ホームに絵を収蔵していただく事業があるんだけど、やってみないか」というお誘いをいただきました。

自分の絵を購入、収蔵してもらったことがなかったので、ドキドキしながら応募したことを覚えています。
その同時期に、大学の同級生である小林大悟くんも日本画で応募していたんです!

※小林さんのインタビュー記事はこちら!
越田:
当時にも入選されていらっしゃるんですよね!

渡部:
そうなんです。ありがたいことに入選のお知らせをいただき、チャームスイート石神井公園に飾っていただいています。
その後チャームケアの方がホーム見学にご招待くださって、実際に自分の絵が飾られている場所を自分の目で見に行かせていただきました。

当時まだ学生だったので、自分の絵を購入していただいて飾ってもらうということ自体が初めての経験で、とても嬉しかったことを覚えています。

※チャームスイート石神井公園に展示されている様子はこちらからチェック!
渡部:
アートギャラリーホーム事業では年に3回くらい応募の機会があるので、毎年参加させていただいています。

自分の絵があるスペースで、日々ご入居者様が暮らされ、スタッフの皆様が働かれているというのは、純粋にとても嬉しいです。

第19回アートギャラリーホームでグランプリを受賞

──今回行われた、第19回アートギャラリーホームについて教えてください。

菊水:
第19回作品募集では、2021年11月15日から2022年1月15日までの約2ヶ月間募集を行い、全国各地から平面・立体含め240点の作品のご応募をいただきました。

今回から協賛企業がいらっしゃいます。ミサワホーム株式会社、株式会社松村組、東洋リネンサプライ株式会社、コンパスグループ・ジャパン株式会社(敬称略)
審査員として、多摩美術大学・教授の小泉 俊己氏、武蔵野美術大学教授の町田久美氏にご協力いただき開催いたしました。

審査員による厳正な選考を経て、入選作品37点(内受賞作品8点)のうち、グランプリを渡部さんが受賞されました。
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菊水:
これまで渡部さんは、毎年素敵な作品でご応募くださって、しっかり結果も残されているんです。
たくさんのホームに渡部さんの作品が展示されていて、各ホームにある渡部さんの絵を集めれば、個展ができるくらいなんですよ!

今回はそんな渡部さんがグランプリを受賞されて私共としても大変喜ばしいことでした。
渡部さん、本当におめでとうございます!

渡部:
菊水さん、ありがとうございます。

20代の頃は、大学院を卒業してから奨学金も返さないといけないし、生活もしていかなければいけない中で、フルタイムで働き、帰宅後寝るまで絵の制作をして…という生活でした。

そんな睡眠時間を削って絵を描く生活の中で、励みになったのがアートギャラリーホームで自分の作品を買っていただけたこと。
作品を買っていただいて、本当に支えになっていました。

先日の表彰式は、私の日本橋三越での個展と時期が被っていたこともあり、いろんな思いが交差して、感極まってしまいました!

菊水:
今では渡部さんは有名になられているので、当社としても鼻が高いです(笑)。

美大生・芸大生の作品発表の場に

──アートギャラリーホームは、美大生・芸大生にとってどんな機会なのでしょうか?

渡部:
絵や芸術をお仕事にしていくために不可欠なのが、「経歴」を作っていくこと。
様々なコンクールにどんどん応募すること、そしてグループ展に参加したり、個展を開いたりして、徐々にステップアップしていくことが必要です。

アートギャラリーホーム事業は、作品を発表できる場であり、経歴を作る場、さらには自分の作品でお金をいただく機会でもある。
美術・芸術を志す学生さんのためになるコンクールだと思います。

越田:
アートギャラリーホームで選ばれた作品は、必ず高齢者の方が生活されるホームに飾られるので、何のために作品が必要かということが明確なのも良いかもしれませんね。

渡部:
確かにそうかもしれません。
最初に応募した時は、介護に関する知識もなかったため、ホームに飾られると言ってもピンとこなかったんですが、長いお付き合いの中で何度もホーム見学をさせていただき、とても意義のあることに参加させていただいているという実感があります。

菊水:
渡部さんは学生時代や働きながら絵を描いていた時、どんなふうに経歴作りをされていたんですか?

渡部:
私は自分の作品を出せるコンクールには全部応募しようと思って絵を描いていました。
当たり前ですが、毎回入選するわけではなくて、落ちちゃう時もあります。

それでもいろんなコンクールに応募することで、だんだん結果がついてくるようになってきて、それに合わせて個展の回数を増やしていって。
その結果、じわじわと絵の売上が増えてきて、コレクターさんがついてきたりして、ようやく2年前から絵を描くことが本業と言えるようになってきました。
菊水:
仕事をしながら絵の制作をするとなると、制作時間をなかなか作れなくなりませんか?
絵を続けてこられたのは渡部さんの精神力の強さがあるように感じるのですが、ご自身ではどう思われますか?

渡部:
直接関係があるかはわからないんですが、私は子どもの頃ずっとサッカーをやっていたんです。
しかも国体で全国選抜に選ばれるほど情熱をもって(笑)。

もしかしたら、体力や粘り強さはあったのかもしれません。
グラウンドを何周も走らされても、注意されたり否定されても、へこたれない精神力があるのかも(笑)。

今でも趣味でフットサルを続けているんですが、私にとってフットサルはリフレッシュ以外にも役割があるんです。

私は普段の生活の中でも、自分の絵の活動のことを積極的に話すようにしています。
フットサルで知り合った方々に「今度個展があるから来てね」など。

「絵を仕事にしている」ことはやはり珍しいので、周りの人たちにも覚えてもらいやすく、フットサルで知り合った方々も私の絵の活動を応援してくれています。
中には、お仕事をくださった方もいるんですよ!

周りの人たちに恵まれているのも、続けられた要因だと思っています。

菊水:
サッカー経験があるなんて!知りませんでした!(笑)
渡部さんの絵が素敵なのはもちろんのこと、渡部さん自身も魅力あふれる人だから、きっとここまでこられたんですね。

「渡部さんの絵がチャームケアのホームにある」ということはとても誇らしいことですね。
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アーティストを支援したい

──チャームケアとしてはアートギャラリーホームをどのような機会にしていきたいですか?

菊水:
アートギャラリーホームが若いアーティストの制作活動の支援となるよう、今後もパワーアップを続けていきたいです。

会社としては「アーティストにとってより一層プラスになるようにしたい」という思いがあります。
ひいては、持続可能な社会の実現に貢献していければと考えています。

越田:
採用の側からお話すると、チャームケアに新卒で入社する介護スタッフのうち毎年2~3人は美大・芸大出身者なんです。

今後、チャームケアで介護職として働きながら、アートギャラリーホームに参加して作家活動を続けていくスタッフが出てきたら、ひとつの成果として形にできたと言えるのではないでしょうか。

自分の絵が飾ってあるホームで働くスタッフがいたら、とても素敵なことですよね。
最初から絵一筋で生活していくのは難しいというお話もありましたし、就職とアートギャラリーホームでの支援が繋がってくると素晴らしいなと思います!

今後も自身の描く絵のような彩りのある人生に

──今後の渡部さんの目標を教えてください。

渡部:
絵を描くことが仕事になってからまだ2年ほどなので、1年後、2年後自分がどのようになっているか全く予想できないと感じています。

学生時代油絵科の同級生は130人くらいいましたが、そのうち半分くらいの方は一般企業に就職。
4分の1は学校の美術やアトリエ教室などで先生をしている人。
作家として活動している人は10人いないくらいです。

自分がこうして絵で食べていけるというのは奇跡ですし、今の生活がこのまま続けていけると甘えてしまってはいけない。

今後も常に緊張感を持って、この先も絵を続けていきたいです。
今回は貴重な機会をいただきありがとうございました。

第20回アートギャラリーホームについて

現在、第20回アートギャラリーホーム作品募集を行っています。
今回の募集では、現在建設中で2022年9月オープン予定の「チャームプレミア グラン 池田山」および、2022年11月オープン予定の「チャームプレミア グラン 御殿山弐番館」の空間を構成するアート作品を公募しています。

佳作、入選および受賞作品は賞金をもって弊社が買い上げ収蔵し、アート作品としてホームに設置させていただきます。

※詳細はこちらからご覧ください。
締め切りは、2022年6月15日(水)必着です。

このコンクールは「公募して結果発表して終わり」という一般的な公募とは違い、受賞された作家さんを継続的に応援するためのプログラムです。

ぜひご興味のある方は、ご応募お待ちしております。

画家・渡部さんの今後のご予定について

今回インタビューにご協力いただいた渡部さんが参加されるイベント情報はこちら。
その他渡部さんの個展情報等は、以下の渡部未乃公式サイトまたは各種SNSをご覧ください。

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