認知症介護実践者研修とは

認知症介護実践者研修は、認知症ケアの専門性を高めるために実施されている研修です。まずは概要や受講条件について見ていきましょう。

認知症介護実践者研修の概要

認知症介護実践者研修は、認知症症状のある方への適切な支援方法を学び、現場で実践できる人材を育成するための研修です。

厚生労働省の認知症介護実践者等養成事業の一環として実施されており、全国の都道府県や指定研修機関が運営しています。認知症の症状や心理的特徴を理解するだけでなく、お一人お一人に合わせた、その方らしい生活を支えるためのケアを学べる点が特徴です。

介護技術だけではなく、介護職以外の職種との連携や、チームケアについても学習するため、現場の中心的な存在として活躍できる人材育成を目的としています。

※認知症介護実践者研修の概要(東京都)

認知症介護実践者研修の対象者と受講条件

受講対象は、介護保険施設や介護サービス事業所などで働く介護職員が中心です。受講条件は自治体によって異なりますが、一定の実務経験が求められるケースが一般的です。

たとえば、東京都では介護保険施設や事業所等で勤務しており、原則として認知症介護に関する実務経験が2年以上ある介護職員等が対象となっています。また、主任やユニットリーダーなど、チームを支える立場の職員も想定されています。

都道府県によって募集要件や申込方法は異なるため、受講を希望する場合は各自治体の最新情報を確認しましょう。

※東京都認知症介護実践者研修 受講要件
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研修の内容とカリキュラム

認知症介護実践者研修では、講義だけでなく演習や実習も行われます。実際にどのような内容を学ぶのか確認していきましょう。

基本的な学習内容

研修では、認知症の医学的知識や症状の理解、認知症ケアの考え方について学びます。
東京都の場合、eラーニングに加え、5日間の講義・演習と約4週間の職場実習が設けられています。
日程 受講形式 内容
eラーニング研修 講義 ・研修の意義と目的・認知症のある人の意思決定支援
・認知症介護の理念と倫理 ・認知症のある人の理解と対応 
・若年性認知症のある人の理解
・QOLを高める活動と評価の観点
・家族介護者の理解と支援方法 
・権利擁護の視点に基づく支援  
1日目 WEB研修
(ライブ)
・オリエンテーション
・生活支援のためのケアの演習1 
・地域資源の理解とケアへの活用
2日目 WEB研修
(ライブ)
・学習成果の実践展開と共有 
・生活支援のためのケアの演習2 
・アセスメントとケアの実践の基本①
3日目 WEB研修
(ライブ)
・アセスメントとケアの実践の基本② 
・職場実習の課題設定 
職場実習(前半) 実践 約2週間の実践形式で、学んだ内容を修得
4日目 WEB研修
(ライブ)
・職場実習の中間報告 
職場実習(後半) 実践 約2週間の実践形式で、学んだ内容を修得
5日目 WEB研修
(ライブ)
・職場実習評価 
・認知症ケアの基本理念を自分の言葉でとらえなおす 
講義は認知症の方が安心して生活できる環境づくりや、その人らしい暮らしを支える視点について深く学べる内容となっており、職場実習では講義で学んだ内容を落とし込んだ、具体的でより現場で活かせる認知症ケアを行います。

※「令和8年度 東京都認知症介護研修のお知らせ」より抜粋

実践的な演習とケーススタディ

認知症介護実践者研修は、現場ですぐに使える実践的な学びが多いことが特徴です。

グループワークやケーススタディでは、実際の介護現場で起こり得る課題について話し合います。認知症の方への対応方法を考えたり、さまざまな他の職種との連携方法を検討したりしながら、より良いサポート方法を学んでいきます。

また、東京都のように職場実習を実施する自治体も多く、学んだ内容を現場で実践しながら振り返る機会があります。
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研修の申込方法と受講手続き

受講を希望する場合は、自治体や研修実施機関への申し込みが必要です。ここでは一般的な流れを紹介します。

申し込み方法の詳細

申し込みは、勤務先を通じて行うケースが多くなっています。
まず各自治体や研修機関の募集要項を確認し、必要書類を準備します。申込書や実務経験証明書などが必要になる場合もあるため、余裕を持って準備することが大切です。

定員を超えた場合は選考になることもあります。

※令和8年度「認知症介護実践者研修(第9~10回)」の詳細はこちら

受講までのスケジュールと受講方法

申し込み後は受講決定通知が届き、研修がスタートします。
東京都の場合は、まず専用サイトから配信する動画を、ご自身が勤める事業所等で視聴して受講するeラーニング約450分と、Web 会議システムを活用しリアルタイムで受講する講義および演習が5日間、実践形式の職場研修が合計約4週間あります。

近年は東京都のようにeラーニングを活用する自治体も増えており、オンライン学習と集合研修を組み合わせる形式が一般的です。
仕事を続けながら学びやすい環境が整っているため、現場で働く介護職員も受講しやすくなっています。

研修開催スケジュール

令和8年度も全国で認知症介護実践者研修が実施されています。
今年度、東京都は下記のスケジュールで募集がありました。

・第1回〜4回:3月10日〜5月29日
・第5〜8回:4月24日~7月14日
・第9〜10回:6月17日~9月8日

募集期間や開催回数、研修日程は居住地や勤務先所在地の自治体によって異なるため、事前に必ず情報を確認しましょう。

修了認定証交付の流れ

研修修了後は、所定の課程を修了した受講者へ修了認定証が交付されます。
講義や演習への参加だけでなく、実習課題やレポート提出が必要となる場合もあります。修了証は、今後のキャリアアップや上位研修の受講要件として活用できる重要な証明書です。

※認知症ケアに関する専門知識や技術を客観的に証明できる民間資格「認知症ケア専門士」について詳しくはこちら
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研修にかかる費用と支援制度

受講を検討するうえで、費用面が気になる方も多いでしょう。ここでは受講料や支援制度について解説します。

受講料

受講料は自治体によって異なります。
東京都の認知症介護実践者研修は無料ですが、都道府県によっては数千円から数万円程度かかるケースもあります。教材費や交通費が自己負担となる場合もあるため、事前に確認しておくと安心です。

助成金や支援制度の活用

勤務先によって研修費用の補助制度を設けていたり、自治体によって人材育成支援の一環として補助金制度を実施していたりするケースがあります。受講費用だけでなく、研修参加時の勤務調整や交通費補助を行う事業所も少なくありません。

受講費用について懸念がある場合は、受講前に職場へ相談してみることをおすすめします。

研修を受講するメリットとキャリアアップ

認知症介護実践者研修は、知識習得だけでなく将来のキャリア形成にも役立ちます。受講するメリットを見ていきましょう。

受講修了後の評価基準

研修を修了すると、認知症ケアに関する専門知識と実践力を持つ人材として評価されやすくなります。

グループホームや小規模多機能型居宅介護などでは、認知症介護実践者研修修了者の配置が求められる場合もあります。そのため、現場での信頼向上につながるケースも少なくありません。受講を修了することで、リーダー等の管理者やマネージャー等の候補として期待される職場もあるでしょう。

キャリアアップの可能性

認知症介護実践者研修の修了は、さらなるステップアップの入り口にもなります。
介護施設や有料老人ホームでは、リーダーや主任などの役職者に対して専門性が求められる傾向があり、昇進の際にはアピールポイントにもなるでしょう。

さらに、認知症介護実践者研修を修了することで、上位資格である「認知症介護実践リーダー研修」や「認知症対応型サービス事業管理者研修」への足がかりとなります。将来的に管理職やホーム長を目指す方にとっては、キャリアパスの第一歩ともいえる研修です。

転職活動においても、認知症ケアに力を入れている介護施設や事業所では高く評価されるケースもあります。高齢化の進展に伴い、認知症ケアの専門性を持つ介護職員へのニーズは今後さらに高まると考えられています。長期的なキャリア形成を見据えるうえでも、認知症介護実践者研修は大きな価値のある学びといえるでしょう。
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認知症介護実践者研修を受講する際の注意点

認知症介護実践者研修は、講義を受けるだけで修了できるものではありません。出席状況や課題提出などの要件を満たす必要があり、条件によっては「未修了」と判断される場合があります。せっかく受講しても修了認定を受けられないケースもあるため、事前に確認しておきましょう。

研修の欠席や遅刻・早退がある

認知症介護実践者研修は、すべてのカリキュラムを受講することが原則です。

体調不良や業務都合などやむを得ない事情があったとしても、欠席日数や受講時間によっては修了認定の対象外となる場合があります。また、遅刻や早退を繰り返した場合も、受講時間不足と判断されることがあります。

レポートや報告書を提出しない

多くの自治体では、講義や演習だけでなく、職場実習への参加や実践報告書の提出が修了要件に含まれています。
研修で学んだ内容を実際の現場で実践し、その結果をレポートとして提出することが求められるため、提出期限を過ぎたり未提出となったりすると修了できません。

受講態度に問題がある

グループワークへの参加が著しく不十分であったり、研修の進行を妨げる行為があったりした場合も、修了認定に影響することがあります。
認知症介護実践者研修は、受講者同士が意見交換しながら学びを深める場でもあります。積極的に参加する姿勢が求められるでしょう。

スムーズに修了するためのポイント

認知症介護実践者研修を確実に修了するためには、事前に研修日程を確認し、勤務調整を行っておくことが大切です。

また、職場実習やレポート作成には一定の時間が必要になるため、提出期限を把握したうえで計画的に取り組むことをおすすめします。研修中に疑問点があれば講師へ相談しながら進めることで、より充実した学びにつながるでしょう。

※「令和8年度 東京都認知症介護研修のお知らせ」より抜粋

まとめ

認知症介護実践者研修は、認知症ケアに必要な知識と実践力を身につけられる研修です。

認知症の方への理解を深められるだけでなく、チームケアや関連する他の職種との連携についても学べるため、介護職として大きく成長できる機会になります。実務経験を積んだ後のキャリアアップにもつながるため、介護現場で長く活躍したい方にとって非常に価値の高い研修といえるでしょう。

認知症ケアの専門性を高めたい方は、ぜひ認知症介護実践者研修への挑戦を検討してみてはいかがでしょうか。

この記事の監修・アドバイザー

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三島 亮士(みしま りょうじ)

2019年4月、チャーム・ケア・コーポレーション入社。
民間介護事業者を中心に、訪問介護・通所介護・居宅介護支援・地域密着型サービスなど幅広い現場を経験。
ホーム長としてマネジメントを担った後、教育研修部へ異動し、人材育成に従事。

専攻・活動
認知症介護の実践と学びを重ね、現在は認知症介護指導者として実践者育成事業に参画。現場と教育をつなぎ、質の高いケアの実現を目指す。

資格
介護福祉士・介護支援専門員・認知症介護指導者

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