会社の理念を深く理解しているスタッフを管理職に

――まずは「チャームマインド理解研修」がスタートした背景をお聞かせください。

稲毛

「チャームマインド理解研修」は、2026年2月からチャームケアの公式研修としてスタートしました。
実はその前身となる研修は、首都圏介護事業部で独自に企画・運営していた取り組みです。「これからのチャームには、どのような人材育成が必要なのか」を何度も話し合い、その中から生まれました。

以前から課題になっていたのが、ホーム長を育成する仕組みです。
新規ホームの開設が続く中、管理職経験者を外部から採用するだけでなく、現場で経験を積んできた一般職スタッフを、将来のホーム長やマネジメント職として育成したい、という声が1年以上前から挙がっていました。

そこで昨年10月頃から、本格的に研修内容の検討を始め、いよいよ2月から研修をスタートする運びとなりました。
新卒で入社し経験を積み、チャームケアの理念や文化を深く理解しているスタッフに、将来の管理職として活躍してほしいという意図が、この研修の出発点になっています。

参加者は、「この人なら将来管理職を目指せる」「ぜひ成長してほしい」と各ホームのホーム長から推薦を受けたスタッフです。介護スタッフの多くは真面目で謙虚な方が多く、「自分に管理職は務まらない」と感じているケースも少なくありません。

2月に首都圏で開始したチャームマインド研修には、一般の介護スタッフやアソシエイトリーダー、リーダーの計16人に参加いただきました。

※前回の稲毛さんへのインタビュー記事はこちら
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「理念」「3原則」「常不信」を掘り下げる

――今回の研修のテーマや内容について、教えてください。

稲毛

全4回の研修内容については、チームで何度も話し合いを重ねました。その中で、リーダーをはじめ職位のある人は、自分の考えや思いを言葉にして伝えられなければならない、という結論に至ったんです。

そこで「理念」について考えることが、1回目のテーマとして決まりました。
研修では、自分の理念を確認しアウトプット・共有したうえで、チャームケアの理念への理解を深めます。答えはなく、講師から教えることはありませんでしたが、グループワークを通して、今後働くうえでも軸となる「理念」を掘り下げてもらいました。

中山

2回目のテーマは、下村会長が社長職時代によく仰っていた言葉がきっかけになりました。
実は2〜3年前、当時社長だった下村会長が自らホーム長の新規採用面接を行っていたのですが、その面接に何度も同席させてもらっていたんです。

その際、「逃げない」「ごまかさない」「ウソをつかない」という考え方を、必ず伝えておられました。隣で聞いていて、私自身非常に納得感のあるお話で、現在のチャームケアの土台ともなる考え方のため、これを「3原則」と名づけて理解を深めてもらおう、ということになったんです。

例えばグループワークでは、「明日から全居室で食事配膳を行うことになった」という架空のケースを設定し、スタッフへどのように伝えるかを考えてもらいました。単に「会社の決定だから」と説明するだけでは、ごまかしていることになってしまうかもしれません。背景や目的を理解し、自分の言葉で誠実に伝えることが、管理職には求められます。

私たちがこのケースで伝えたかったのは、「最初から完璧にできる人はいない」ということです。誰でも逃げたり、ごまかしたりしたくなる場面はあります。だからこそ、「自分にもそういう場面がある」と気づき、どう行動すべきかを考え続ける姿勢が大切だと思っています。

稲毛

3回目のテーマ「常不信」も、下村会長がチャームケアのホームページでも仰っているワードです。

「常不信」は直訳すると「常識を信じるな」という意味になります。介護の現場では当たり前で、これまで一度も疑問を感じなかったことも、「本当にこれで良いのかな」「もっと他の方法があるんじゃないかな」と、立ち止まって考える姿勢を大切にしよう、という考えです。

例えば、介護施設ではレクリエーションは午後2時から行われることが多い傾向にあります。これはチャームケアのホームだけではなく、他社さんのデイサービスや介護施設でも同じです。ではなぜ2時からなのか?の問いに答えられる人は、なかなかいないんですよね。

今回の研修では、それぞれのテーマに沿ってグループワークを行ってもらい、とにかく考えて、意見を交換し合う時間がほとんどでした。正解がない問いへの挑戦になりました。
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回を重ねるごとに主体的に取り組む姿勢へと変化

――参加者の皆さんには、どのような変化が見られましたか?

中山

研修の1回目は正解を求めるようなスタンスで臨んでいる方が多い印象を受けましたが、2回目・3回目は、自分の意見を考えて発表することを楽しんでいるようにも見えて、どんどん主体的に取り組むように変化していきましたね。

実は、研修の最初に毎回3分間スピーチの時間を設けていました。
テーマが「会社への提言」だったときは、現場の生の声が聞けて本当に有益でした。その中から実際に実現へ動いているものもあるくらいです!
このスピーチが自身の考えや思いを言葉にして伝える一助になったのではないか、と思います。

他ホームとの交流が学びを深め、横のつながりを生む

――参加者の方々から寄せられたお声を聞かせてください。

稲毛

研修では、普段は接点のない仲間と意見を交わし、それぞれのホームでの取り組みや考え方を共有できることも、大きな魅力の一つです。参加者アンケートでは、「他ホームのスタッフと話せたことが一番良かった」という声が数多く寄せられました。

また、研修の途中に、一般職からホーム長へステップアップした管理職や、統括リーダーにゲストとして参加してもらい、自身の経験や仕事への想いを直接話してもらう機会を設けました。
参加者からは、「どのようなことを意識して働いているのか」「どのように管理職になったのか」といった質問が次々と飛び交っていました。将来の自分を具体的にイメージできる時間になったようです。

中山

管理職という存在が遠いものではなく、「自分も目指せるかもしれない」と感じてもらえたことは、大きな成果だったと思います。
その証拠に、研修が始まった当初は「ホーム長や統括の役職にはあまり就きたくない」と答えた人が大半だったにもかかわらず、最終的なアンケートではほぼ全員が「将来的にホーム長をやってみたい」に変わったんですよ。

ホーム長や統括の言動への理解が深まって、捉え方が変わったのかな、と感じます。

※新たにスタートした教育研修課が担当する「テーマ別研修」についてのインタビュー記事はこちら

研修への参加が管理職への第一歩に。すでに昇格実績も

――研修の成果として、印象的だったことを教えてください。

稲毛

首都圏で開催した第1クールでは、当初16名が参加し、最終的に14名が修了しました。そのうち、研修中から修了直後にかけて、統括リーダーに昇格したスタッフが2名います。
さらに、アソシエイトリーダーからリーダーへステップアップしたスタッフなど、昇格したスタッフは研修参加者の半数以上にのぼります。研修をきっかけに、新しい役割へ挑戦する人が着実に増えているんです。

もちろん、もともとホーム長から推薦されるだけの素質があった方々ではありますが、研修を通じて自信が生まれ、「やってみよう」と一歩踏み出せたことは大きかったのではないでしょうか。
理念を改めて学び、現場の管理職との対話やグループワークを重ねたことで、「自分も挑戦してみたい」という気持ちが芽生えたのだと思います。
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全社へ広がった研修を、介護業界全体の学びにつなげたい

――今後の展望について教えてください。

中山

今回の研修はこのあと、8月から近畿圏での開催となります。本社スタッフも参加できるようになるなど、参加対象となるスタッフの幅を広げる予定です。

研修というと「勉強しに行く場所」というイメージを持つ方もいるかもしれません。
ですが、この研修は少し違います。新しい仲間と出会い、新しい考え方に触れ、自分自身の成長を楽しめる時間として参加していただけたら嬉しいです。

稲毛

首都圏だけで試行錯誤しながら始めた取り組みが、全社研修として広がったことを本当に嬉しく思っています。場所も決まっていない、運営方法も手探りという状態からスタートしましたが、多くの方に支えられ、ここまで形にすることができました。

言われたから仕方なく参加するのではなく、スタッフ自身が「参加したい」と思える研修になったことが本当に良かったです。今後はホーム間の横のつながりをさらに深めながら、チャーム全体の人材育成につなげていきたいと考えています。

そして将来的には、このような考え方や取り組みが、介護業界全体にも広がり、より多くの人材の育成につながればこんなに素晴らしいことはありません。

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