チャーム京都音羽を支える看護師兼統括リーダー

――樋口さんのご経歴をお聞かせください。

2017年に看護師としてチャームケアに入社しました。看護リーダーを経て、現在はチャーム京都音羽で統括リーダーを務めています。チャームケア全体では、私を含めて4人が看護師兼統括リーダーとして、全国のホームで勤務しています。

前職は病院の看護師として働いていましたが、ライフスタイルの変化とともに夜勤が難しくなり、転職を検討しました。日勤の仕事を探していた頃、チャームケアに出会ったことがきっかけで現在に至ります。

※樋口さんへの前回のインタビュー記事はこちら!

ポータブルエコーを活用しご入居者様の健康を管理

――チャーム京都音羽では、ポータブルエコーを活用したご入居者様の健康管理に注力されていると伺いました。

チャーム京都音羽では、2021年12月ごろから、iViz airポータブルエコー(以下、エコー)を導入した排便確認に取り組んでいます。介護DXに関連したこの試みは、チャーム京都音羽からスタートしました。

認知症のご入居者様などは、排便したかどうかを忘れてしまうことがあります。いつ排便されたかが分からず、排便を促すお薬の要・不要の判断が難しい状況が続いていました。
ご入居者様の自己申告や、トイレットペーパーを三角折にしてトイレの使用状況から推測したり、トイレ掃除のときに痕跡を確認したりと、あの手この手で排便確認をしていたんです。

また、排便が済んでいるにも関わらず、下剤を服用してしまうケースもあり、ご入居者様のお体の負担が懸念されていました。

エコーを導入してからは、腹部にエコーをあて便の有無や量などを確認してから、お薬を飲んでいただけるようになりました。腸だけでなく、膀胱も確認できるため、排尿の状況を確認することもできます。
現在は、タイミングを逃すことなく、ご入居者様にトイレを促すことができています。

看護師がご入居者様のお部屋にお伺いする際、エコーを巡回カートに乗せているので、必要に応じて使用しています。
チャーム京都音羽ではご入居者様の健康管理になくてはならない必需品になっています。
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エコーで実現したご入居者様の生活スタイルの変化

――エコーの活用が功を奏したエピソードがあれば教えてください。

排便に関しては、エコーで直腸まで便がきていることが確認できた場合、座薬を使わせていただき、そのままスムーズに排便に至る事例が多くあります。

また、男性は加齢に伴い、尿が出にくくなる排尿障害になる方が増えてきます。膀胱に尿が溜まっているのに、うまく排尿できない重症の方には尿道バルーンを使用するケースもあります。

そういった方も、エコーで膀胱に溜まった尿の量を確認し、排尿のタイミングを図ることで、尿道バルーンよりも自由度の高いDIBキャップに変更できた事例がありました!
ご自身で破棄できることで、トイレに行ってトイレで処理するという自立につながり、生活のリズムが整いました。

他には、尿道バルーンを外して、おむつで生活できるようになったご入居者様もいらっしゃいます。尿道バルーンのない生活はもう無理だろうなと諦めていた方も、エコーの導入でチャレンジできる環境になりました。

トイレ問題はセンシティブです。ご入居者様自身も、誰かに手伝ってもらうより自分でできた方が気持ちも良いですし、気を遣う必要もありません。
トイレ事情が好転すると、ご入居者様のQOLの向上につながります。ホームでの生活もさらに楽しめますよね。

※ご入居者様の体調管理の一環として、バイタルサインの活用をご紹介する記事はこちら。

慢性便秘エコー研究会で発表!

――外部の研究会で発表されたときのお話を、お聞かせください。

エコーを活用した取り組みを発表するため、10月28日に行われた、第3回慢性便秘エコー研究会に参加しました。私は補佐的な立場での参加でしたが、大変貴重な経験になりました。

発表されていた方の多くは、病院勤務や在宅訪問看護などを行われている医師の方だったので、私たちのような介護施設の看護師が行う取り組みに、大変関心を寄せていただきました。たくさんのお褒めの言葉をいただくことができて、とても嬉しかったです。

ご高齢の方は筋力が衰えることで、排便の力が弱まり便秘になる方が多く、薬を常用されている方もいらっしゃいます。ひどくなると、イレウス(腸閉塞)になってしまわれる可能性もあります。
介護施設で働く看護師は、ご入居者様をイレウスから守る!という使命を持って、日々対応にあたっているんです。

「イレウス」とは

腸閉塞(イレウス)は異物や炎症、腫瘍などにより腸管が塞がれた状態(機械的イレウス)、あるいは開腹手術などで腸管が麻痺(まひ)(拡張)して腸の蠕動運動が障害された状態(麻痺性イレウス)を指します。
〜中略〜 便やガスが腸内に充満して、腹痛や嘔吐などさまざまな症状が起こります。
お腹が張った苦しい状態は、ご本人にしかその苦痛は理解できません。かといって、むやみに下剤を服用するとADLが低下してしまう可能性もあります。
看護師の経験や感覚ではなく、エコーで客観的に確認することで、下剤の要・不要を見極めることができ、薬の服用によるご入居者様の体への負担も軽くなりました。

今回の研究会の参加は、これまでのエコーを使った健康管理の活動が評価されたことが感慨深かったことはもちろん、ご入居者様の自立した快適な生活の一助になるように、引き続き力を入れていこう!と気合いを入れ直す良い機会になりました。
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他のホームへの拡散とさらなるエコーの活用に注力

――樋口さんの今後の目標を教えてください。

他のホームにも、エコーを使った健康管理の活動を広めていきたいです。
近くにチャーム京都山科があるので、まずはそちらで勉強会を実施したいですね。ご入居者様のためになる情報を共有して、横のつながりを大事にしていきたいと考えています。

実は、エコーを使いこなすことは結構難しいんです。使いこなすことができれば、便の量だけでなく硬さまで分かります。白っぽいものが濃く写っているとちょっと硬めだな、モヤモヤ~っと見えていたら柔らかめだな、といった感じです。

また、エコーは便や尿だけでなく、嚥下の確認もできます。食事をしっかり​飲み込みきれていない、なども分かるんです!
高性能なので、導入費用も高額になりますが、多くのホームで活用できれば、それだけご入居者様の生活における負担も軽くなりますから。

現在、チャーム京都音羽の看護師4名と介護リーダーは、さらにエコーを活用できるように、教育プログラムを受講させていただいています。
エコーの活用を通して、大病に繋がる可能性のある便秘や排尿障害の改善や、ご入居者様のQOLを高める取り組みに、これからもより一層注力していきます。

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