大阪産業大学野球部とチャームケアのコラボ

──初めに自己紹介をお願いします。

宮崎:
大阪産業大学3回生、野球部主務の宮崎七海です。
主務とはいわゆるマネージャーのことです。

4回生で前キャプテンの中西と、2回生の上田も同席させていただきます。
今日はよろしくお願いします。

本田:
人材開発課からは課長の越田直司と、私、課長代理の本田尭大が参加させていただきます。
よろしくお願いします。

※本田さんの過去のインタビュー記事はこちらからチェック!

コラボのきっかけは就活セミナー

──コラボに至った経緯を教えてください。

宮崎:
大阪産業大学野球部は、約200名の選手が所属していて、うちリーグ戦に出られるのは25~30人くらい。
試合に出ることができない残りの170人のことを考えると、野球をやっている意味を見つけたり、卒業する時に「ここに来てよかったな」と感じてもらうためにはどうしたらいいのかな、と思っていました。

もちろんみんな、野球をしにきているので、野球が全てだとは思うんですが、野球だけをやっていていいのか?という思いが私の中にはありました。
というのも、私は高校時代から野球部のマネージャーをやっているんですが、監督さんや連盟の方など周りの大人が「ただ野球をやっているだけではダメだよ」と、選手の人間性を大切にすることを教えてくださったから。

今、私たち若者にしかできないことってなんだろう?
そういうことに関わるきっかけを選手に与えることが、マネージャーとしてあるべき姿なんじゃないのかな、と考えていました。

そんなとき、連盟の就活セミナーに参加しました。
当時私は2回生だったので、3回生の部員と一緒にいろんな会社を見ていて、偶然本田さんに出会いました。

初めは老人ホームだとは思わなかったんです!
パンフレットに綺麗で豪華な建物が写っていたので、なんの会社だろう?と話を聞いていたら、「高齢者施設です」と言われてびっくり(笑)。
そのときにチャンスは今しかない!と思い、ダメ元で「実は私、野球部のみんなと社会福祉に関する活動がしたいんです」と相談しました。

正直、コロナ禍なので断られるかなと思ったのですが、本田さんは「いいですね! ちょっと社内で言ってみます」と動いてくださいました。
資料を準備してプレゼンしたわけでもないのに、初対面の学生の話に乗ってくださった本田さんの姿勢にいい意味で驚かされました。

※産大野球部の公式HPはこちら!

まずはご入居者様との関わりを持つこと

──どんなイベントを実施しているのか教えてください。

本田:
2021年12月から月1回の打ち合わせを始め、5月にチャーム四條畷にて初のイベントを実施しました。
本当は4月に開催予定だったんですが、コロナ感染が広がっていた時期だったので、延期して5月に開催したんです。

宮崎:
初回のイベントは、ご入居者様と関わることがメイン
まず野球部の活動動画をスクリーン上で流してから、グループに分かれてご入居者様とフリートークしました。
最初は緊張して話せない部員もいたんですが、人生経験豊富なご入居者様たちが、私たちの知らないことをたくさん教えてくださいました。

越田:
いつも何名ぐらい参加されているんでしょうか?

宮崎:
部員8人くらいと一緒に伺っています。
最初の2、3回はメンバーを固定して開催していたんですが、最近では自分から参加したいと言ってくれる部員が増えてきました。

試合に出ていないからこそ、自分たちにしかできないことで、誰かに貢献したい、笑顔にしたいという強い意識を持っている学生が多いんです。

越田:
部内ではどのように活動の告知をしているんですか?

宮崎:
野球部の公式instagramやtwitter、ホームページがあるので、そこでイベントを始めた経緯などを投稿しています。
宮崎:
それを部員が見てくれて「僕、そういうのに興味あるから参加したいです」と言ってくれたり、「試合に出れない中で、チームに貢献できているかわからない。だからこそ、この活動を通して誰かの役に立ちたい」と言ってくれる部員がいました。

初めの言い出しっぺは私でしたが、みんなが協力・参加してくれるおかげで、ここまで活動できています。

越田:
すごい…。皆さん、人間性が素晴らしいですね。

宮崎:
ありがとうございます! 監督が人間性を重視しているんです。
部員たちは、強豪校からきている子もいれば、公立のそんなに強くない高校からきている子もいます。
育ってきた環境が違うので、入部当初はみんなそれぞれの価値観ですが、監督の目指している野球や人物像にだんだん引き込まれていくんです。
最近では、野球以外の部分で誰かの役に立ちたいという部員が増えてきました。

越田:
今日は、秋お祭りのお手伝いだったんですよね。
具体的にどんなことをされたんですか?

宮崎:
チャーム四條畷のスタッフの方々に、フランクフルトや焼きそば、おでんなどご準備いただきました。
それを部員と一緒に提供したり、お御輿を担いでホーム内を練り歩いて、ご入居者様と関わらせていただきました。
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ご入居者様が喜んでくださるのが嬉しい

──ご入居者様からの反応はいかがですか?

宮崎:
ご入居者様たちはいつも喜んでくださって、「今日もありがとう」「また会えて嬉しいわ」と嬉しい言葉をかけてくださいます。
私たちのことを覚えていてくださっているんですよ。

中には「ここまで元気に生きててよかったわ」なんて言ってくださる方もいて…最初は、私たちにできることをしただけなのに、そんな大袈裟な!と驚きましたが、それだけ喜んでいただけたんだなあとありがたく受け取っています。

最近は終わりの時間になると「え、もう帰るの?」とか「寂しいわ。次いつ来るの?」と聞いてくださって、私たちの方が元気やあたたかさを頂いている感覚です。

スタッフのみなさんも「〇〇さん、すっごい喜んでました。ありがとう」と言いに来てくださったりして、本当に嬉しいです。

チャームケアのスタッフとのやり取り

──なぜチャーム四條畷で開催することになったんですか?

本田:
宮崎さんからお話を頂いた時、せっかくなら大阪産業大学から近い場所で活動してほしいと思い、チャーム四條畷が一番近かったので、私からホーム長に提案させていただきました。
そしたら、たまたまホーム長が大阪産業大学の出身だったんです。

そんな偶然の後押しもあって、四條畷でやりましょうということになりました。

宮崎:
四條畷のスタッフの方は、いつも私たちを信頼して受け入れてくださいます。
私たちが来ることで仕事量や負担を増やしてしまっているのではないかと思うんですけど、そこを全然見せなくて、どんな提案をしても「いいね!やろうやろう」と言ってくださいます。

私たちのような学生の意見を尊重して、全面的に協力してくれる大人の方たちです。
お陰様で、「こういうことやりたい」と伝えやすくて助かっています。

越田:
今まで外部の方で関わりがあったのは、幼稚園の子どもたちやボランティアの方などが中心でした。
ホームの近隣であったり、ホーム長との繋がりの中で実施されていました。

我々採用担当として、こういう風に繋がれることはなかったので、そういう意味では採用担当としても非常にありがたいですね。

そういえば、本田さんは就活セミナーで宮崎さんからこういうお話をいただいた時、驚かなかった?

本田:
意外とびっくりはしなかったですよ。
最初の頃は、「産大の子が採用できたらいいな」という下心を持っていましたが(笑)、関わっていくうちに変わっていきました。
社会人になると、どうしてもお金のことや誰がやるかとか、オペレーションなど具体的なことばかりを考えてしまいがちなんですが、学生さんたちは違うんです。

7月に花火大会をする予定が諸事情で中止になってしまったあと、次回の打ち合わせをしていたときに、上田くんが「花火大会ができなかったんで、もう1回計画したい」と言ってくれたんです。

僕たちは「もう済んだことだから、また来年」などと機械的に考えてしまうんですが、上田くんはご入居者様のためには何がいいんだろうと、介護における一番大事な部分を大切にしてくれていました。

こういう関わりの中で、私は改めて彼らから学ばせてもらっています。

※イベントの様子はチャーム四條畷の暮らしのアルバムをチェック!

部員の後押しがあるから活動できている

──部員のみなさんの反応はいかがでしたか?

越田:
せっかくなので、上田さんと中西さん、最初宮崎さんから話聞いたとき、どう感じたか教えてください。

上田:
七海さんがやると言うなら、やります!という感じでした。
自分も、どちらかというと人のために何かやりたいと思うタイプなので。

僕も高校の頃に、野球部で地域交流活動をしていて、周りの人との交流の大切さを学びました。
でも大学になると、地域っていう範囲が広くなって、関わり方が分からないなと思っていたんです。
なので、このような機会をいただけてとても嬉しいです。

中西:
ご入居者様との関わりは、普段の生活の中ではなかなか経験できないことです。
マネージャーを含めいろんな方々がチャンスを作ってくださったおかげで参加できるので、積極的に参加しないともったいないですよね。
みんな、人の役に立ちたいという気持ちと、自分自身の経験や勉強だととらえて参加しています。

越田:
部員のみなさんがそう思ってくれているのは、宮崎さんも嬉しいですね。

宮崎:
はい、とても嬉しいです。みんなが関わってくれるから実現できたと思っています。

中西さんがキャプテンをされていた頃から、こういうことしたいと相談していて、「絶対いいと思う!」と背中を押してくれていました。
キャプテンって野球のこと、チームのことを真剣に考えなくてはいけない役割で、大変だし忙しいはずなんです。
それでも私がやりたいことを理解して、全力で協力してくださるので、ありがたいです。
そういうキャプテンじゃなかったら、多分ここまでできていないと思います。

本田:
この間試合を観戦させてもらったんですが、産大のみなさんはマナーのいいスポーツマンシップに溢れる人たちだなと感じました。
相手チームは結構ヤジがあったんですが、産大は自分のチームの応援はするけど、相手チームのことは一切言わない。
徹底していて、素晴らしいなと思いました。

宮崎:
相手がいなかったら野球はできないので、そこは相手に対する感謝をもって、尊重すべきだというのがチーム方針なんです。
相手にどれだけ言われても、自分たちからは絶対に言わないとか、カッとなってもケンカを売らないこと。
相手に感謝する気持ちを忘れずに最後までプレーするっていうのは、チームで徹底しています。

上級生がずっとそうしてきたから、下級生にも伝わってチーム全体がまとまっています。
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社会に貢献し続ける大人を目指して

──皆さんの今後の目標を教えてください。

宮崎:
私は野球関係の仕事に就いて、最終的には障がい者野球チームの運営をしていきたいと考えています。
これは私が高校1年生の時に、野球部のマネージャーになってすぐ見つけた夢です。

障がい者の野球チームは兵庫県内にたくさんあるんですけど、野球関係者でも知らない人が多く、一般には広がっていません。

障がいと言っても、いろんな種類や程度ありますが、「普通に野球ができる」のも当たり前じゃないんです。
そう感じる人が増えたら、もっと野球界のレベルも上がってくるはず。
野球をやっているだけじゃいけないっていう考え方も、もっと浸透すると思っています。

残りの学生生活も、社会人になってからも、いろんな経験をして成長していきたいです。

越田:
障害者野球連盟って、たしか兵庫県内で40チームくらいありますよね。

宮崎:
はいそうです! それをもっと大きくしたい、もっといろんな人に知っていただきたいんです。

中西:
自分は年齢問わず、いろんな人と関わっていきたいです。
これから先も、自分一人でできることって何もないと思うんです。
でもいろんな人と関わることによって、はじめて生活できたり、何かを成し得たりする。

僕はもう大学野球は引退したんですが、野球部の活動の中でいろんな外部の人と関わり、成長できました。
今後も、監督さんや周りの方に教えて頂いたことを胸に、将来に繋げていきたいです。

上田:
僕は今2回生で教職課程で教員を目指して勉強しています。
僕の父は島根県の障がい者バレーの監督をやっていて、実家のすぐ近くの養護学校の寮の管理の仕事をしています。

子どもの頃から養護学校に出入りすることも多く、身近な存在だったので、将来はハンディがある子の助けになりたいです。
チャームケアでいろんな経験させてもらっているのも、将来何かに繋がると思っています。
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見て見ぬふりをせず、学生さんから憧れてもらえる大人でいたい

──最後に、コラボ企画のきっかけとなった本田さんから感想をお願いします。

本田:
大阪産業大学野球部の皆さんからは、本当に良い刺激をたくさんもらっています。

僕がチャームケアに入社したばかりの頃、研修における3つの約束というのを作っていて、その中に「しないをしない人間になりましょう」というのがあります。

たとえば、「挨拶をしない」っていう選択を「しない」とか、「リアクションを取らない」っていう選択を「しない」、「目の前にゴミが落ちてるのに拾わない」っていうことを「しない」。
どれも僕の息子くらいの幼稚園児が習うことのはずなのに、今の大人ってそういうの見て見ぬふりをして、しないをする大人が多いと思うんです。

例えば駅員さんが「おはようございます」と挨拶しているのに対して、みんなが素通りしていくみたいなのは、本当にかっこ悪いですよね。

大阪産業大学野球部のみなさんは、誰かに強制されることなく、とても自然に、当たり前のことができているんです。
そんな姿を見て、大人として憧れてもらえるような、かっこいい存在でいたいと改めて思いました。

今後も一緒に活動を盛り上げていきたいので、ぜひこれからもよろしくお願いします!
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