介護のあり方は進化し続けている

介護保険制度は、2000年に始まりました。
創設当初から、介護を必要とする人が自主性を持って自分らしく生活できる「自立」に向けた支援を目的としていましたが、実態としてなかなか実現できていない状況でした。
そのため、当初の介護は「加齢によりできなくなってしまったことを補完する」ことに終始してしまい、それが長らく続いていたのです。

その後、介護を必要とする人(要介護者)がどんどん増え、介護保険制度はあっという間に財政難に陥りました。
また現状の介護に対して、「できる能力が残っているのに、その機会を奪っている」という指摘がされる一因ともなりました。

今回は、介護保険制度のスタートから20年余りの歳月を経て、現在の介護のあり方がどのように変化しているか、また自立支援とは何なのかについて解説します。
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残存機能を維持するための介護

現在の介護は「最期まで人として自尊心を持って生きるために、残存機能(本人が保持している能力)を維持するための支援」を目的に実施されています。

歩くことや食べること、排泄や入浴など、日頃から生活の中で繰り返し行っていることは、自然と体が覚えています。
病気や怪我などで入院した経験がある方はイメージしやすいかもしれませんが、若者であっても一時的に中断すると、取り戻すまでに時間がかかるものです。
日常的な動作にさえ他者の助けが必要になると、自尊心が傷つき、生きる活力が損なわれていくでしょう。

残存機能を維持することで尊厳を保持し、いきいきと高齢期を過ごすために「自立支援」と「介護予防」が重要だと考えられています。
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介護予防とは

「介護予防」とは、高齢者が要介護状態(介護が必要な状態)にならないように予防することを指します。
また、要介護状態の場合は回復を目指し、回復が難しい場合は悪化を防止することをいいます。

具体的には、日常生活を続けていくために「予防のためのリハビリテーション」を行います。
健康なうちに、健康管理や健康づくりを始めるという考え方です。

運動機能や栄養状態といった「心身機能」の改善だけを目指すリハビリテーションではありません。
日常生活の「活動」を行い、家庭や社会への「参加」を促すことによって、一人ひとりの生きがいや自己実現のための取組を支援しています。

※対人援助の行動規範である「バイスティックの7原則」もあわせてチェック!

自立支援介護とは

「自立支援介護」とは、介護を必要とする人が自立した生活ができるように支援すること。

自立に向けた支援は大きく分けて「身体的自立」、「精神的自立」、「社会的自立」の3種類があります。
介護を受ける人が、この3つの自立を達成・改善・維持できるようにすることが自立支援介護の目的です。
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有料老人ホームによる自立支援の取り組み

それでは、有料老人ホームで暮らすご利用者様・ご入居者様はどのような自立支援を受けているのでしょうか?

有料老人ホームでは、ご入居者様に合わせて3つの自立のどこにフォーカスして支援をすべきか、ホームの専門職がご本人様・ご家族様とよく相談しながら提案を行います。

また、どのようなご状態であったとしても、ホームで暮らすご入居者様は運動の機会が減少しがちです。
居室に閉じこもりがちになったり、外出の機会が減ってしまうことがあります。

高齢者の運動不足は、筋力低下や筋萎縮、関節拘縮、食欲低下や便秘などの「廃用症候群」を引き起こす恐れがあります。
ご本人の意向を尊重しつつ、ご入居者様に興味を持ってもらえる提案や工夫をし、できる限り身体を動かす機会を作ることで、身体的自立の支援を行っています。
要介護状態の方には、要介護状態の悪化防止になりますし、要支援・自立の方には、要介護状態にならないための支援です。

多くの有料老人ホームでは、健康器具等を使用した介護予防運動指導や生活リハビリ、季節にあわせたレクリエーションなどで運動を促しています。

※介護における行動変容についても合わせてチェック!

チャームケアの自立支援

それでは、チャームケアではどのような取り組みが行われているのでしょうか?
ホームで実際に行われている「運動」の事例を3つご紹介します。

健康体操

チャーム須磨海浜公園では、レクリエーションの一環で、外部からインストラクターの方をお呼びして健康体操を行っています。

健康体操を始める前は、書道など文化的なレクリエーションが多く、静かなホームという印象だったそう。
身体を動かすレクリエーションにチャレンジしてみたところ、ご入居者様たちの活発で笑顔あふれる姿が見られるようになったそうです。

週1回の希望制で、いつも参加者が20名以上いらっしゃる人気のプログラムです。

※健康体操の様子はこちら!

梅ちゃん体操

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チャーム明石大久保駅前では、介護リーダーの梅澤恭子さんが中心となり、月1回「梅ちゃん体操」で身体を動かしています。

梅澤さんが前職で老健のリハビリ助手として働いていた経験を活かし、オリジナルで実施されています。

ご入居者様からは「梅ちゃん体操、もっとやってよ」「回数を増やしてほしい」という声が寄せられるほどの大人気。
明石大久保駅前では定番のレクリエーションです。

※梅ちゃん体操の様子はこちら!

秋の運動会

チャームスイート西宮浜では、レクリエーション委員を中心に、季節にあわせてさまざまなイベントを企画しています。
中でも一番盛り上がるのが、秋にご入居者様とスタッフ合同で行われる運動会。

運動会では、赤組と白組に分かれ、玉入れやボール送りなど座ったままでも参加可能な競技で身体を動かします。
スタッフによる手押し相撲や綱引きなどの競技も行われ、ご入居者様は「頑張ってね~!」「応援してるよ!」と自分のチームのスタッフに声をかけ、大盛り上がり。

自分の身体を使って競技に参加するだけでなく、声を出して応援したり、手を叩いて喜んだりと、たくさんのリハビリ効果が詰め込まれたイベントです。

※運動会の様子はこちら!
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まとめ

今回は、介護のあり方の変化や有料老人ホームにおける自立支援の取り組みについて解説してきました。

介護職の仕事は、ご入居者様の身の回りのことをなんでも代わりに実行するのではなくなってきています。
「年齢を重ねても元気にいきいきと暮らしたい」という思いを持つご入居者様を支えてさしあげ、手助けをすることこそが、本当の介護のあり方です。

チャームケアではスタッフ一丸となって、ご入居者様の自立支援を行っています。
ご入居者様がいきいきと暮らすためには、スタッフもいきいきと働ける環境であることが重要なので、労働環境の改善にも力を入れています。

介護現場で働いてみたい!と考えている方は、ぜひその施設・ホームの自立支援への姿勢や具体的な取り組みについて確認してみましょう。

チャームケアでは、一緒に働く仲間を募集しています。
ぜひ一度ホーム見学にお越しください。

この記事の監修・アドバイザー

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大野世光(おおのひろみつ)

2017年10月1日、株式会社チャーム・ケア・コーポレーションに入社。
介護系大手企業でスーパーバイザーなどを歴任し、
チャーム・ケア・コーポレーションのホーム長を経て、
教育研修室にてスタッフの教育を実施。
2022年7月から、教育研修部副部長 兼 介護DX推進課長に就任。
介護支援専門員資格、社会福祉主事任用資格を所持。

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