配膳ロボットの導入にチャレンジ

──はじめにご経歴と現在担当しているお仕事を教えてください。

チャーム長岡天神、統括リーダーの堀田亜矢子です。
チャーム長岡天神がオープンした2018年3月に中途入社し、5年目になります。

前職も介護付有料老人ホームで介護職として働いていました。

今日は、当ホームで試験運用をしている配膳ロボットにしてお話しさせていただきます。

※長岡天神のホーム長のインタビューはこちら!

配膳ロボットとは

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──配膳ロボットについて教えてください。

配膳ロボットとは、ご入居者様のテーブルまで自動で配膳するロボットのこと。
途中で障害物があったり、人が現れたら、それらを避けて通ります。音楽をかけながら運行することで配膳中の事故を防ぎながら、決められた場所までお皿や飲み物を運ぶことができます。

最近ではファミレスやラーメン屋、コンビニエンスストア、病院など様々な場所で活用され、街中で見かける日も増えてきましたね。

チャームケアでは現在、ICT化やDX化に力を入れています。
配膳ロボットはその流れで導入され、長岡天神が初のモデルホームとして活用方法を模索しています。

長岡天神での実証実験がうまくいくようなら、他のホームにも導入していく予定なので、ワクワクしながら取り組んでいます。

※DX推進を担う、大野さんのインタビューはこちら!

配膳ロボットの活用方法

──配膳ロボットの具体的な活用方法を教えてください。

長岡天神では、配膳ロボットに「てんちゃん」と名前を付け、食堂での配膳・下膳の場面で活用しています。
ホーム長が名付け親で、長岡「天」神から取ったそうです(笑)。

配膳の全てをてんちゃんに任せているのではなく、スタッフの補助の役割。
てんちゃんに備え付けのトレーの部分に、ご入居者様のお膳を6人分ほど載せ、ご入居者様の席までお食事を運びます。
スタッフが1膳手に持ったり、手動のカートに10膳ほど載せたりして、一緒に付き添うんです。
食事の後にはスタッフと一緒に下膳もしてくれる、頼もしいアシスタントです。

長岡天神では、全室のご入居者様が1箇所に集まってお食事をしています。
ホームによってはフロアごとに食堂があって、お食事していただいているホームもあるので、そういったホームよりも配膳ロボットを活用しやすいんですね。
てんちゃんを導入して1ヶ月程度ですが、とても助けられていて、今後は配膳ロボットが配膳するのが当たり前になっていくと思います。
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集合型食堂における配膳プロセスの最適化の一環

──なぜ長岡天神がモデルホームになったのですか?

ホームによってはフロアごとにお食事をしているところもあるので、長岡天神のような集合型食堂のホームで導入をという流れです。
長岡天神では、以前「集合型食堂における配膳プロセスの最適化」というテーマで研究を行い、社内の介護研究発表会で優秀賞(1位)を獲得した経緯があります。

給食業者様と連携し、食堂での混雑の緩和、スピーディーな配膳を目指しました。
今回の実証実験もその延長で取り組んでいます。

今回せっかくいただいた機会なので、介護ロボットの導入前と導入後でどのような変化が出たか、まとめる予定です。
スタッフが配膳した場合と、てんちゃんを活用した場合で、配膳や片付けにかかった時間を記録しています。
データをしっかりと集め、介護研究の事例にできるように準備しています!

簡単操作でスタッフからは高評価

──長岡天神のスタッフの皆さんの反応はいかがでしょうか?

配膳ロボットの操作はとても簡単なので、スタッフのみんなも喜んで使ってくれています。

安全性を考え、てんちゃんの動くスピードはゆっくり。
スタッフがたくさんいる時間帯は、人の手で運んだ方が早いのですが、人員が少ない日にはとても活躍してくれています。

活用方法は工夫が必要で、まだまだ試行錯誤の段階です。
「使い方次第ではすごく力になってくれるロボットだね」とスタッフみんなで話しています。
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スムーズに導入できたのはご入居者様のおかげ

──ご入居者様の反応はいかがでしょうか?

初めのうちは「これはなに?」とびっくりされている方もいらっしゃいましたが、皆さんだんだん慣れてきてくださっています。

てんちゃんは、事前に座席表をもとに設定しておくと「〇〇様の席に配膳します」「お待たせしました」などと、しゃべりながら運んでくれるんです。
「お!きたきた」と嬉しそうにてんちゃんを迎えてくれるご入居者様もいらっしゃいるんですよ。

ご入居者様の中には、配膳の時に自分のお膳を配膳ロボットから下ろしたり、下膳の時に載せられる方もいらっしゃいます。
お元気なご入居者様には、タッチパネルを操作していただき、スタッフの元にてんちゃんを返していただいています。
普段の生活でタッチパネルに触れる機会が少ないので、「頭の体操になっていいね」と喜んでくださる方も。

配膳ロボットがスムーズに導入できたのは、ご入居者様たちが快く受け入れてくださったおかげです。
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配膳ロボットをさらに活用していくために

──今後の展望を教えてください。

ご入居者様に、ご自身で介護ロボットからお膳を下ろしたり、載せたりしていただく行為を、もっと増やしていけたらいいですね。

お膳を下ろしたり、載せたりという動作は、私たちからするととても簡単なことに思えますが、ご入居者様の身体状況によっては、お膳の重さを考えると比較的難しい動作になります。
もし汁物などがこぼれてしまったら火傷のリスクがありますし、今すぐに皆様にやっていただくのは現実的ではありません。

ですが、自立支援の観点からも、ご自分でできることを増やしていきたいんです。

たとえば、お食事やティータイムの際のお茶やコーヒーをセルフサービスにしました。
自分で好きなものを好きなだけコップについでいただき、好きなだけミルクやお砂糖を入れてもらうんです。
初めのうちは、「ポットが重たい」とおっしゃっていたんですが、最近は自然と皆様ご自分でされています。
毎日のことなので、皆さん少しずつ筋力がついたり、慣れてくださいました。

このように、ご入居者様は、身の回りのことが1つ1つ自分でできるようになると、活力が生まれてどんどん元気になっていかれます。
少しずつ自分でやっていただける方を増やしていけたら良いなと思っています。
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お掃除ロボットも活用し、さらなるDX化を

──他にも新しい取り組みをされていたら教えてください。

長岡天神では、お掃除ロボットの活用も始めています。
家庭用のものよりも大きめな業務用のお掃除ロボットで、水拭きと掃除機の機能があるので、食堂の掃除で活用を始めています。

従来は、夜勤帯のスタッフがご入居者様の様子が落ち着いている時間を見計らって、30分ほど掃除機とモップをかけていました。
落ち着いている時間と言っても、その30分の間に何もないという保証はないので、ご入居者様のことを気にしながら食堂の掃除をしているんです。

もし食堂の掃除をお掃除ロボが代行してくれたら、スタッフがフロアを離れる時間が減り、仕事の効率も上がります。

ただ、机や椅子の足にぶつかったり、挟まったりして動かなくなってしまったり、結構難航しています(笑)。
禁止エリアの設定ができるんですが、なぜかその場所に入ってしまうこともあります。
どんなふうに活用したら良いのか…てんちゃんよりも手こずっています(笑)。

掃除ロボットの活用も、まだまだチャレンジの日々です。
配膳ロボットと掃除ロボットを戦力にできるよう、知恵を絞っていきます!

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