チャーム・カレッジの趣旨、目的

「チャーム・カレッジ」は、東北大学特任教授で東北大学ナレッジキャスト㈱常務取締役の村田裕之先生とチャームケアが産学連携で取り組んでいる認知症改善プロジェクトの一部です。
チャーム・カレッジでは、月に1回テーマを決めてセミナーを開催。

科学的な根拠に基づいた正しい情報をご提供することで、日々の生活を見直していただき、認知症改善や身体機能の向上に努めていただく目的で行われています。

村田教授の経歴について

東北大学特任教授
スマート・エイジング学際重点研究センター 企画開発部門長
東北大学ナレッジキャスト株式会社 常務取締役

多くの民間企業の新事業開発・経営に参画し、常に時代の一歩先を読んだ事業に取り組まれています。日本のシニアビジネス分野のパイオニアであり、経済産業省や内閣府委員会委員など多くの公職を歴任された、高齢社会研究の第一人者です。

→村田教授の詳しい経歴はこちらをご覧ください。

チャームケアとの産学連携のきっかけ

──まず、チャームケアと産学連携することになったきっかけを教えてください。

村田:
初めて関わりを持ったのは、下村社長より私の友人を介して「一度お食事をしたい」とお誘いいただいてからです。

下村社長がお話されたのは「これからの老人ホームは、入居すると健康寿命が伸びる場所にしたい」といった内容でした。

私自身も、あらゆるシニアビジネスに携わっている経験をもとに、介護業界に関するお話をいくつかさせていただきました。

その中で、下村社長が「ぜひお手伝いしてほしい」と仰られたのがきっかけですね。
数年かけて、どのようなコンテンツにするかなど話し合いを重ね、ついにチャーム・カレッジが実現しました。

下村社長の「健康寿命を伸ばしたい」想いに共感

──下村社長のお話を聞かれた際の印象を教えてください。

村田:
お話を伺って、営利企業の経営者の方には珍しく、入居する高齢者の立場をお考えの方だと感じましたね。
ただ介護報酬を当てにして高齢者住宅ビジネスをされている方ではないなと。

私は本来、高齢者住宅は健康寿命を伸ばせる場所であるべきだと思っています。
しかし、日本の介護保険制度では、入居者が元気になると介護報酬が減り、介護事業者の収益が減ってしまうという矛盾を抱えています。

下村社長に、「健康寿命を伸ばせば、介護報酬が減りますが、それでも良いのですか?」とお尋ねしたところ、そういった矛盾のある制度を理解した上で「それでも良いんです」と仰られたんです。

その言葉を聞いて、収益のためだけに高齢者住宅事業をされているのではなく、きちんと理念を持って取り組まれている方だと感銘を受け、ぜひ協力させてくださいとお伝えしました。

介護施設が抱える認知症改善への課題

──チャーム・カレッジを立ち上げるまで、どのようにプロジェクトを進められたのでしょうか?

村田:
下村社長と次にお会いしたのは、チャーム・ケア・コーポレーションの上場記念パーティーでした。

その際に取締役の方や各担当者をご紹介いただき、そこから打合せが始まったのです。
チャームケアさんも首都圏へ進出され、会社自体が大きく成長されているタイミングで、話はどんどん進んでいきましたよ。

斎藤:
当社としても、上場を機によりいっそう社会貢献を意識した活動を増やしたいと考えていた時期でした。
そういったチャンスにお力添えいただけて光栄ですね。

──チャーム・カレッジのテーマとして認知症改善を掲げた理由を教えてください。

村田:
私と小梶取締役、他のスタッフの皆さんで打ち合わせをした際に、「健康寿命を伸ばすためにも、特に認知症のケアに関する取り組みを行いましょう」というお話になりました。

現在の高齢者住宅・介護施設は、入居するとさまざまな理由で認知症が悪化する傾向にあります。
日常生活のサポートすべてを介護スタッフがやってしまいがちで、運動や認知刺激が減ることが一因です。

現状では、医学的に「認知症が予防できる」とは誰も言えません。医学的なエビデンスを積み上げるのに60年以上という長い時間と多くの人数サンプルが必要なためです。

一方、私たち東北大学では学習療法の開発をはじめ認知症の研究を幅広く行っており、どのような生活習慣を持てば認知症になりにくいか、たとえ認知症になっても改善していけるかがわかっています。

以上の理由から、認知症予防ではなく、「認知症改善プロジェクト」というタイトルでプログラムを始めることにしました。

チャーム・カレッジの参加者について

──チャーム・カレッジの参加者はどのような方が多いのでしょうか?

斎藤:
これまで開催したチャーム・カレッジには、チャームケアのご入居者様のご家族様、チャームケアの取引先企業様などにご参加いただいています。

今後はよりいっそう幅広い方に知っていただき、多くの方にご参加いただけるよう、告知方法を工夫していきたいと思っています。

チャームケアのホームにご入居をご検討されている方、そのご家族様、また既にご入居されている方など、さまざまな方にご参加いただき、今の生活を見つめ直したり、介護について考えるきっかけにしていただきたいですね。

講演テーマは時期的なニーズも踏まえて検討

──チャーム・カレッジで取り上げるテーマはどのように決めているのですか?

村田:
認知症改善という軸のもと、時期的なニーズも踏まえてテーマを決めるようにしています。
担当の斎藤さんはじめ、チャームケアの方々にもご意見を伺っています。

直近では、新型コロナウイルス感染症対策についてお話しました。

高齢者の方は、コロナに感染した際の重症化リスクが高いと言われています。
そのため、どの高齢者住宅や施設も外出を控えるようになり、ホーム内で過ごす時間が多くなっているのが現状です。

もちろん、感染対策として外出を控えることは良いのですが、過度な外出自粛で運動量が減ってしまうと、健康二次被害が起きてしまいます。
具体的には、コミュニケーション機会が少なくなり、運動不足で下半身が衰えて移動が減り、認知機能が低下して認知症が進行するなどです。

コロナ対策と認知症改善を両立させるためには、感染予防対策を徹底的に行った上で、ホーム内でできる運動や脳のトレーニング、食事の見直しを適切に行うことです。

コロナ禍の今こそ、これまで以上に各介護施設がどうあるべきか見つめ直すことは重要です。

斎藤:
当社の介護の質を高めるためにも、現場で活躍している介護スタッフが正しい価値・判断で日頃から業務を行えるようにしていきたいですね。

チャーム・カレッジでは、正しい情報を発信する啓蒙活動をこれからも行っていきます。

→前回のチャーム・カレッジの資料についてはこちらをご覧ください。

認知症改善には社会との交流の機会を作ることが大切

──具体的に、ご入居者様に対してどういった介護サービスを提供していくのが良いとお考えですか?

村田:
感染予防対策は徹底した上で、運動機会を増やしていくべきだと考えています。
科学的な裏付けのもとで、徐々に活動できる範囲を広げていけると良いですね。

いちばん大切なことは、社会との交流の機会を作ること。
他者とのコミュニケーションの機会が増えることで、入居者には社会的な役割が生まれていきます。

その結果、誰かに頼られていると感じたり、人から感謝されたりすることで、脳にドーパミンと呼ばれる神経伝達物質が分泌され、元気ややる気が湧いて活動的になり、認知機能の低下を防ぐことにつながります。

日本の高齢者施設は、身の回りの介護サービスはすべてスタッフがやる傾向が強いです。
一方、アメリカに目を向けると、高級な高齢者施設ほど入居者が積極的にさまざまな活動を自発的にする傾向があります。

介護施設に入居していても、人の役に立ちたい、社会と関わっていたいという意識が強いからこそ、自分の手を使い、足で動くことで、認知症の進行を食い止めることができています。

斎藤:
チャームケアでも、レクリエーションを工夫することで運動機会を増やせるよう心がけています。
いろいろなご入居者様がいらっしゃいますので、レクに全員参加とはいかないケースもありますが、スタッフも積極的に働きかけていますよ。

村田:
介護業界他社の一歩先を行くサービスをご提供できれば、チャームケアさんは業界内でも一目置かれる存在になれますよ。

→コロナ禍でも工夫して取り組んでいるレクリエーションの記事はこちら!

チャームケアには世界から注目される企業になってほしい

──村田教授がお考えになる、今の介護業界の課題を教えてください。

村田:
介護業界は、新型コロナウイルスの影響もあって全体的に厳しい状況に置かれています。
施設の見学や面会の制限があるため、入居を控える高齢者の方が増えています。

一方で、コロナ感染を恐れて、自宅で介護をするよりも施設に入居したほうが安全だとお考えのご家族様もいます。
情報が錯綜する中でも、正しい知識を持って、正しく恐れることが大切です。

斎藤:
介護事業者として、ご入居者様やご家族様の立場に立ったアクションをどこまで徹底できるかが求められています。
新型コロナウイルスの影響で、これまでとは異なる状況だからこそ、お気持ちを深く理解して寄り添っていくのが大切ですね。

村田:
日本は世界で最も高齢化率(全人口に対する65歳以上の人口の割合)が高い国です。
海外では、日本の介護をモデルケースにしようと注目している国もあります。

下村社長と出会った頃の話に戻りますが「入居すると健康寿命が伸びるような老人ホームにしたい」と言い切れる経営者はなかなかいません。
そういった方向性で高齢者住宅事業を継続するのは立派な志です。

高齢者の方にとっても、そのご家族様にとっても、健康寿命を伸ばすのは大きな願いであり、顧客のニーズでもあります。
チャームケアさんが率先して業界の先頭を走り、日本の介護の水準を高め、世界から注目される企業になってほしいですね。

介護業界は人間教育において最も学びが深い

越田:
村田先生は、東北大学で普段から学生さんと接していらっしゃいますよね。
介護業界で働くことの魅力を、学生さんにいかに伝えられるか、日々模索しています。
村田先生のお考えをお聞かせください。

村田:
他の業界にはない、もっとも大きな要素は、入居者の人生の最期に関われることです。

それを通じて、人が死ぬとはどういうことか、生きるとはどういうことか、という深いテーマに正面から対峙できます。
これは時には大変辛く、葛藤も大きいですが、こうした機会を通じて「人として成長できる」ことが介護業界の最大の魅力でしょう。

私もそうでしたが、20代、30代には目先の給料の額よりも、人間とはどういう存在なのか、人間としてどう生きるべきかを考える機会が多いことが重要です。
それが長い人生において必ずプラスになるからです。

就職先を探している学生さんには、社員の方が介護現場で直面した課題が何で、それをどうしたら打開できたか、そしてその過程を通じて自分は何を学んだのか、を伝えたらよいと思います。
今の学生さんにとって魅力的に思える会社とは、そこで働いたら「人間として成長できるかどうか」です。

そのためには、社員の皆さんひとり一人が日々の業務から毎日何を学んでいるのかを結晶化する必要があります。
自分の体験したことの意味を深く考え、言葉にして、人に説明する。
こうしたスタイルを社員全員が普段から身に着けておけば、学生さんと話すときも自然と魅力は伝わると思いますよ。

私の周りでは、30代・40代の比較的若い経営者が介護業界で活躍しています。
若くて経験が浅い反面、先入観にとらわれないため、利用者の目線で新しい経営スタイルをとり、新サービスを導入して新風を吹き込んでいます。

日本同様に高齢化が進んでいるシンガポールや香港などでは介護は外国人労働者に丸投げしているところが多く、若者は介護の仕事に就きません。
それに比べれば、日本の若者は純粋で、社会のためになろうという気持ちの人が多く「まだまだ日本の若者も捨てたもんじゃない」と思いますよ。

──本日はインタビューにご協力いただき、ありがとうございました!

チャーム・カレッジを通して介護の質の向上を

東北大学特任教授の村田先生、チャームケアの斎藤さん、越田さんにWEBインタビューを受けていただきました。

チャーム・カレッジは、現在月1回時期的なニーズも踏まえ、テーマを決めて開催しています。
今後も村田先生に介護に関するさまざまな講義を行っていただき、介護の質を高めていきたいですね!

→次回のチャーム・カレッジの詳細については次のページをご覧ください。

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