チャームケアの介護研究発表会とは?

チャームケアでは、毎年介護研究発表会を開催しています。

各ホームで普段の生活の中から課題をひとつ決めていただき、期間を設けて研究していくものです。
ご入居者様の生活の質を向上させるための取り組みや、スタッフの業務改善など、テーマは自由。

審査を通過したホームが全ホームの前で発表いただき、取り組みや成功事例を共有し、よりよいサービス提供に活かしています。

今年は新型コロナウィルスの影響により、ZOOMを用いたオンライン開催となり、リアルタイムの発表ではなく事前収録によるものとなりました。

介護研究発表会の準備期間は約1年

介護研究発表会はチャームケアでの大きなイベントのひとつ。
企画書の提出から実際の発表まで、じっくりと時間をかけて準備してきました。

例年6月に開催していますが、今年は新型コロナウィルスの影響で10月開催となりました。
今回の第8回開催までの流れはこちら。

  • 2019年08月 ⇒ 企画書を提出
  • 2019年12月 ⇒ 選考用の抄録を提出
  • 2020年01月 ⇒ 1次審査通過のホーム発表
  • 2020年02月 ⇒ 2次審査通過のホーム発表
  • 2020年04月 ⇒ 最終抄録を提出
  • 2020年09月 ⇒ 抄録集を全体発信
  • 2020年10月 ⇒ 発表用のパワーポイントを提出
  • 2020年10月 ⇒ 介護研究発表会・懇親会

1次審査を通過したのは25ホーム、最終審査では11ホームまで絞られました。

本来であれば10ホームが発表会でプレゼンを行うのですが、今回は良いテーマが多く11ホームの発表となりました。

介護研究発表会初のオンライン開催

第8回介護研究発表会は10月28日(水)にオンラインで開催されました。

発表は11演題で、1演題につき10分の発表と質疑応答が約5分。
通信環境に配慮して、各ホームはマイクとカメラをオフにして参加しています。
質疑応答はチャット機能を活用した挙手制で、質問者側のホームが一時的にカメラとマイクをオンにして発言します。

すべての発表が終了したのちに、教育研修室からの総評と審査員による投票があり、優秀賞・2位・3位のホームの表彰、閉会という流れです。

審査員は下村社長をはじめ、取締役・執行役員・介護事業部部長など、発表ホームのホーム長を除く各役職者が審査員を務めます。
教育研修室の糸川さんが司会進行を担当しました。

チャームPOINTでは過去に糸川さんへ取材を行っています。(↓)

11ホームの発表の結果、上位3ホームの取り組みをご紹介します。

【第3位】新人スタッフの指導方法改善

第3位に輝いたのは、チャームスイート京都桂坂による、新人スタッフへの指導についての発表でした。

【演題】新人スタッフの指導について ~チェック表の使用でお互いの不安を取り除く~
【期間】2019年4月~2019年12月
【対象】チャームスイート京都桂坂の指導スタッフ・新人スタッフ

チャームスイート京都桂坂|研究目的・きっかけ

チャームスイート京都桂坂では、新人スタッフ指導の際に独自のチェック表を使用していましたが、さまざまな課題がありました。

研究の目的は、チェック表の改善により、指導者・新人スタッフのストレスと不安を減らすこと。
また、新人スタッフが仕事に対する自信と向上心を持ち、自立することを目指しています。

チャームスイート京都桂坂|研究手順

研究は、まず現在使用しているチェック表を見直し、課題を発見するところからスタートしました。
改善版のチェック表を作成し、新たに入社した新人スタッフを対象に使用することで、さらなる課題を発見。

このステップをくり返し、少しずつ改善していきました。

チャームスイート京都桂坂|実際の事例

初代のチェック表は、サイズが大きく、業務中の持ち運びが不便でした。
一方で、コメント欄が小さく見返しにくいことが課題。
○△×の3段階の評価基準があいまいで、評価する側の主観による差が大きく見られました。
1日の振り返りは別紙になっており、評価者の書き込み・作業量が多くなっていました。

そこで、サイズを縮小し、学んだことや振り返りを記録するページも含めて1冊にまとめました。
また、新卒育成の工程表を作成し、他者から見ても技術の習得度がひと目で分かるように。
最終版では、評価基準を6段階に変更し、指導者のコメント記入例を統一することでブレをなくしました。

こうして、初代から4度の改良を行ったチェック表が完成したのです。

チャームスイート京都桂坂|研究成果

研究期間を経て、指導者・新人スタッフの両者へアンケートを行いました。
 
指導する側からは、「何について指導するか分かってスムーズだった」「新卒育成工程表のおかげで、今は何をすべき段階かが把握しやすかった」との声がありました。

新人スタッフからは、「コメントを書いてもらうときに会話する時間ができ、仕事の中で楽しみになった」「自分の進捗状況やペースを確認できた」「注意点が書いてもらえて復習しやすい」と良い反応がありました。
自分の課題が分かることで、次回の目標が立てやすくなりますね。

良い評価をもらえると嬉しい、やる気が出る、褒められるとモチベーションが上がるという、前向きな言葉が多く聞かれました。

チャームスイート京都桂坂|まとめ

研究の結果、チェック表の改善の成果があり、新人スタッフが自信と向上心を持てていることがわかりました。
チェック表を活用しつつ、指導者側から「最近どう?」「悩みはない?」と声をかけることで、相談しやすい雰囲気づくりに取り組んでいます。

京都桂坂のチェック表がとても有意義だと評判になり、チャームケア全体の新人育成にも使われているんですよ。

※チャームスイート京都桂坂のプレゼンターを務められた、河野さんにお話を伺った記事はこちら!(↓)

【第2位】個人を尊重したケアでADL向上を目指す

第2位は、チャームスイート京王聖蹟桜ヶ丘の、老年期うつのご入居者様のADL向上について。

【演題】尊重した個別ケアでADL向上を目指す ~精神的な苦痛の排除~
【期間】2019年11月21日~2019年12月20日
【対象】5名のご入居者様

日常生活の動作能力(ADL)とは

「ADL」とは、日常生活動作(Activities of Daily Living)の略。
排泄・食事・入浴など日常生活で必要な基本動作を表し、被介護者の方の自立度を図る指標になっています。


チャームスイート京王聖蹟桜ヶ丘|研究目的・きっかけ

テーマを選んだきっかけは、プレゼンターの梅木さんの亡くなられたお母様。
「今考えると、うつ傾向にあったのではないか?」と考え、研究を始めました。

高齢者の方がうつ傾向にあると、部屋に閉じこもりやすくなり、運動量が減り介護度・支援度・死亡率のリスクが上がってしまいます。

研究の目的は、うつ傾向のあるご入居者様のADLをアップさせること
個人を尊重したケアを実施し、ご本人様の意欲を引き出すきっかけづくりを意識しました。

チャームスイート京王聖蹟桜ヶ丘|研究手順

まずは、対象となるご入居者様の既往歴やご趣味などを詳しく知ることから始め、個別ケアのスケジュールや計画表を作成します。
ご入居者ご自身がより快適に過ごしていただけるサポートが重要。
ご本人様の考え方を理解し、整理することで、よりよい解決策を打ち出すことができるのです。

実行したケアを記録し、振り返りを行うことで、より充実した介護サービスを実施できるように精度を高めていきました。

チャームスイート京王聖蹟桜ヶ丘|実際の事例

全介助が必要でうつ傾向にあるご入居者様に、個別ケアを実施することで、排泄の自立に向けて可能性を探り、離床時間を増やすことができるよう働きかけました。
また、お部屋と共有フロアとの間で移動範囲を広げ、車いすでホームの内外へのお散歩へお連れすることで、人との関わりやコミュニケーションの活性化に取り組みました。

チャームスイート京王聖蹟桜ヶ丘|研究成果

1ヶ月後、対象となっていただいた5名のご入居者様は、老年期うつ病評価尺度などの数値をとらせていただき、すべてにおいて改善が見られました

ご入居者様ご自身で車いすに座りなおしたり、スプーンを握って口元へ運ばれるなど、これまでみられなかった行為が生まれ、スタッフ一同喜び合いましたよ。

チャームスイート京王聖蹟桜ヶ丘|まとめ

今回の研究結果で、気持ちに寄り添う個別ケアとADL向上には関連が見られることがわかりました。

ご病気をお持ちの方も、スタッフの接し方を工夫することで活動意欲を高めることができました。
ご本人様の心理的な欲求が現れることが、生活の質の向上に大きく影響しています。

今回の研究で得たノウハウを活かし、今後もご入居者様の意欲を引き出していける個別ケアに取り組んでいきます。

※京王聖蹟桜ヶ丘の大角ホーム長へのインタビュー記事はこちら!(↓)

【優秀賞】集合型食堂における配膳プロセスの最適化

第1位となる優秀賞は、チャーム長岡天神の発表でした。
ご入居者様の生活を支える集合型食堂の課題解決についての研究です。

【演題】集合型食堂における配膳プロセスの最適化
【期間】2018年9月~2019年12月5日
【対象】すべてのご入居者様

チャーム長岡天神|研究目的・きっかけ

研究のきっかけとなったのは、ご入居者様からのお声。
「運ばれてきた食事が冷めていることがある」「着席してから配膳までに時間がかかっている」「先に席についていたのに、なかなか食事が来ない」というご意見がありました。
また、ホームの開設当初よりご入居者様の人数が増えて、みなさまが同じタイミングで食堂に集まると、少しお席の数が足りないという課題もありました。

ご要望にお応えするために、スタッフの意識を向上させ、業務改善に取り組みました。

チャーム長岡天神|研究手順

解決策を見出すために、長岡天神と同じ形態の集合型食堂のホームを3箇所ほど見学し、他のホームはどのように対処しているのかを調査しました。

また、ご入居者様のお気持ちを把握するため、スタッフがご入居者様の立場でお食事を体験。
「やっぱりぬるいですね」「汁物が冷めているのはつらい」などと意見交換を行いました。

お食事ができあがってから提供するまでの表面温度を測定し、お食事を提供してくださる給食会社様と協議を重ねました。

チャーム長岡天神|実際の事例

席数が足りない課題は、ご入居者様を2つのグループに分ける「2便制」を導入することで解消されました。
1便目は、主に声掛けや誘導、介助が必要な方を中心にし、2便目は、ご自身でお食事の時間にお部屋から出てきていただける方に。
また、ポットと湯呑みを各テーブルに設置し、ご自身でできる方にはお茶のセルフサービスにご協力いただきました。

お食事を乗せたカートの置き位置を工夫し、状況を確認しながら配膳するように心がけました。
配膳専門のスタッフは茶色のエプロンをつけて、お食事が出てきたら配膳を優先に行動するように。
見た目にわかりやすくすることで、他のスタッフとの連携が取りやすくなりました。

盛り付け時に、厨房から出す直前にごはんやおみそ汁をよそい、常にあたたかい状態に。
冷めやすいスープやカレーの対策のため、スープジャーを導入。
配膳カートの横に置き、ごはんに汁やルーをかけて、すぐにご提供しています。

温蔵庫の設定温度は、器が熱くなりすぎない限界を探りつつ再設定しました。
配膳カート上のお料理の位置を席順に合わせ、無駄をなくしました。

チャーム長岡天神|研究成果

結果として、これまで配膳に10~15分かかっていたところ、4~7分で完了できるようになりました
お食事の温度をキープした状態で配膳できています。

また、お食事がはじまる時刻までに、ご入居者様をお席に誘導できるように。
スタッフがそれぞれの役割を把握し、別の業務で食堂を離れる際にも声をかけあうようになりました。

2便制を導入したことで、お席の混雑を緩和することに成功。
ご入居者様同士でお誘い合わせの上ご一緒に食堂へ来られたり、お待ちの時間におしゃべりしていただくなど、交流が広がったのも嬉しい副産物でした。

チャーム長岡天神|まとめ

工夫と試行錯誤の結果、お食事の提供に対する課題を改善された例でした。
スタッフ間の連携プレーや、給食業者様のご協力があったからこその結果ですね。

「あと少しお料理を温かくしてほしい」というお声もあり、研究期間を終了したあとも引き続き改善に取り組んでいます。

集合型食堂があるホームでの最先端の取り組みとして、ノウハウをこれからも発信していってほしいですね!

11ホームすべての発表が素晴らしい内容

3位・2位・優秀賞のホームの取り組みをご紹介しました。
入賞には至らなかったものの、他ホームの発表もすべて素晴らしいものでした。

▼他ホームの発表はこちら

  • 人手不足改善のための取り組み
  • FIM(ADLを点数にしたもの)を活用した取り組み
  • レクリエーションの充実について
  • サ高住から介護付に移行したホームでの満足度アップ
  • 排泄介助の意義や技術を磨く取り組み
  • 看取りについて
  • 服薬管理の方法

どのホームでも、ご協力いただいたご入居者様・スタッフへの感謝の気持ちを忘れず、お互いの研究内容を褒め合い、ねぎらいの言葉をかけていたのが印象的でした。

質疑応答では、発表内容を自ホームに活かすために、「うちのホームでやるなら…」という具体的な質問が多く飛び交っていました。

※チャーム鶴見緑地のレクリエーションについて、取材記事はこちら!(↓)

【介護研究発表会】介護サービスの質を向上させる取り組み

第8回介護研究発表会の様子をご紹介させていただきました。
初のオンライン開催で不慣れな点もありましたが、各ホーム問題なく参加していただき、集合開催と変わりない熱気を感じました。

コロナ対策や外出レクの自粛など、例年にはない状況ですが、それぞれ今できることを精いっぱい取り組んでいます。
介護研究発表会を通じて、これからも業務の改善や見直しを続け、サービスの質を上げていきたいですね。

問題意識を解決に導く力を磨きつつ、介護の明日をスタッフ全員で切り拓いていきます!

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