介護職に就いている場合に妊娠したらどうなるの?
仕事は今まで通りできる?
報告する時期はいつが良い?

身体を動かす仕事である介護職。
妊娠した時にどう対応すべきか分からないと不安ですよね。

実際に、介護スタッフが妊娠した際には注意点もあります。
そこで、この記事では下記5つのポイントについて詳しく解説していきます。

・報告の時期
・注意すべきこと
・避けるべき仕事、できる仕事
・給付金
・キャリア


この記事を読めば、介護職の方が妊娠した場合も焦らず対応することができますよ。

・介護職への転職を考えている人
・介護職で妊娠予定、妊娠中の人
・パートナーが介護職

という方はぜひ参考にしてください。

介護職の人は妊娠が分かったらなるべく早く報告しよう

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妊娠報告のタイミング

一般的に、妊娠報告のタイミングは、安定期に入ってからという人も多いです。
ですが、介護職の場合は身体を動かす仕事なので、妊娠が分かったらすぐに職場へ報告しましょう。

具体的には、産婦人科を受診して「妊娠」が確定した、妊娠初期のタイミングです。
受診が早すぎると胎嚢が確認できないことがあるため、注意が必要です。

まずは妊娠検査薬を使って陽性を確認します。
その後、妊娠5~6週目まで待って受診すれば胎嚢や胎芽が確認できる可能性が高まります。

早い段階で妊娠報告することで、人員確保やシフト調整など職場側も柔軟に対応することができますよね。

妊娠報告をする相手と順番

妊娠報告の優先順位

  1. 上司への報告
  2. 同僚への報告
  3. ご入居者様・ご利用者様への報告


1.上司への報告

まずは直属の上司に報告し、今後の対応を相談しましょう。
報告する際に伝えるべきことはこちらです。

・妊娠週数と出産予定日
・産休・育休取得予定
・現在の体調
・検診や体調不良で休む可能性があること
・仕事内容や勤務時間帯の希望
・同僚、ご利用者様への報告時期の相談


妊娠中の体調は個人差が大きいもの。
どの程度の仕事ならできるのか、上司にとっては分からない場合もあります。

妊娠したことそのものを伝えるだけでは、仕事内容も配慮してもらえるとは限りません。
働き方について希望があればはっきりと伝えることが大切です。

産休・育休は、パート・アルバイト・派遣社員など非正規雇用でも取得可能なので、相談してみてくださいね。(育休は条件あり)

2.同僚への報告

上司に伝えた後、同意を得た上で同僚に報告しましょう。

妊娠が確定してから1~2週間経つと、赤ちゃんの心拍が確認できるようになります。
この時点で、自分のお休みや体調不良で負担をかける可能性のある同僚にも報告しておくと、円滑に対応してもらいやすくなります。

しかしながら、流産の約8割が妊娠12週未満に起こる早期流産。
万が一の場合は、そのことも伝えなくてはならなくなります。

そのため、伝える人は身近な同僚に留めておくというのも選択肢の1つです。
どの人にいつまでに伝えておくべきか、上司としっかり相談して決めましょう。

3.ご入居者様・ご利用者様への報告

ご入居者様・ご利用者様へいつ報告するべきかも、上司との相談が必須です。
いつ報告するかが決まったら、そのことを同僚にも周知しておきましょう。

特定の介助動作ができない、休みがちになるなど、ご心配をおかけする可能性もあります。
そういった場合は早めに報告するなど、上司と相談の上、臨機応変な対応が必要となります。

妊娠中の介護スタッフが注意すべきポイント

産休までの間、介護スタッフとして仕事を続ける場合、どのようなことに注意すればよいでしょうか。
順調に経過すれば、産前6週まで働くケースが多くなっています。
妊娠中の介護スタッフが気をつけるべきことをまとめました。

周りの理解と協力を得よう

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妊娠しても介護職として続けていくためには、周りの理解と協力が欠かせません。
なぜなら、妊娠中はどうしても体調不良や検診などで周りに負担を掛けてしまうものだからです。

中には、つわりが出産まで続いたり、絶対安静と言われる人もいます。
ある程度、周囲に迷惑をかけてしまうことも事実であることを認識しておきましょう。

そのことを念頭において、感謝の言葉を忘れずに伝えることが非常に大切です。

どうしても職場の理解が得られないときは、「母性健康管理指導事項連絡カード」(通称・母子連絡カード)を利用しましょう。
医師に勤務時間短縮等の措置が必要であると記入してもらい、職場に提出します。
事業主は、記載内容に応じた適切な措置を講じる必要があります。

体調不良はすぐに報告する

人により程度は異なるものの、妊娠中は吐き気、めまい、立ちくらみ、貧血、動悸、息切れ、体の痛みなどが出産まで続きます。
休むことで周囲に迷惑をかけるのではと思い、言い出しにくいこともあるかもしれません。

ですが妊娠中の無理は禁物です。
大切なのは母体と赤ちゃんの健康。

小さな変化も「このくらいは大丈夫」と過信せず、すぐに報告しましょう。

介護職が妊娠中に避けた方がよい業務

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妊娠中には、介護施設内で発生する業務の全てをこなすことは難しくなります。
下記のような行動は避けるよう心がけましょう。

・重いものを持つ
・走る
・高い場所や不安定な場所に立つ
・体に負担がかかる


重いものを持つと腹圧がかかり、お腹の張りにつながる場合があります。
また、妊娠後期にはお腹が重くなり、腰にいつも以上の負担がかかり腰痛の原因になることも。
走ったり、高い場所や不安定な場所に立つことも、転倒のリスクがあるため避けましょう。

赤ちゃんを守るためには、適宜周りに頼ることも必要です。
では、どういった業務が難しいのか、具体的に解説していきます。

入浴介助、移乗介助

入浴介助や移乗介助は、どうしても力を必要とし、体力も消耗してしまいます。
また、バランスを崩す、足元が濡れているなどの理由から転倒の危険も。

こういったリスクの伴う業務は、妊娠中は避けるべき仕事と言えます。

夜勤

妊娠中、生活リズムが崩れる夜間に働き続けることは体に大きな負担がかかります。

また、夜勤は人員が少ないため、妊婦であっても負荷がかかる作業も行わなければならない可能性が出てきます。
そのため、妊娠中は夜勤から外してもらうようにお願いしましょう。

その分、周囲のスタッフにとっては夜勤が増えることは事実ですので、周りへの感謝と配慮は忘れずに。

排泄介助

妊娠中、つわりの時期は匂いに敏感になるため、排泄介助は難しいでしょう。
また、介護度が重いご入居者様のご対応は、体に負担がかかる場合があります。

匂いに敏感な時期が終わり、安定期の体調の良い時には、自立歩行が可能な方の排泄介助につくことは可能です。
その時の体調と相談して対応していきましょう。

食事介助

つわりの時期には、食事のおいしい匂いであっても耐えがたいと感じることもあります。

つわりが終われば、食事介助は妊娠中に行える業務の1つになります。
こちらも、体調を踏まえて相談してみましょう。

妊娠中の介護スタッフにもできる仕事

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妊娠中に難しい仕事を紹介してきましたが「妊娠したら介護職は難しいのかな」と不安になる必要はありません。
妊娠していても、比較的身体への負担が少ない仕事はあるからです。

ここからは、妊娠中でも積極的にできる仕事を解説していきます。

トイレ誘導

排泄介助は難しくても、自立歩行が可能なご入居者様をトイレへ誘導することは可能です。

ご入居者様はもちろん、自身の転倒にも気をつけながら行いましょう。

清掃・整理整頓などの環境整備

居室・洗面所・トイレ・浴室・食堂などの清掃や、整理整頓は体に負担のかからない程度であれば行えます。
その際、高いところに立ったり、重いものを持つことは避けましょう。

また、妊娠中は免疫力が低下するため、掃除の際はいつも以上にウィルス感染対策が必要です。

事務作業

書類の記入や記録作業など、座ってできる事務仕事は妊婦にもできる業務です。

体調面でできない仕事が増える分、事務的な業務を積極的に請け負うことで、周囲の負担を軽減することができます。
介護スタッフの中には事務仕事が苦手な方も多く見受けられますので、助け合いながら補っていきましょう。

入浴等の準備

入浴介助は難しいものの、事前の準備をしておくことは可能です。
くれぐれも、転倒には注意しつつ行ってくださいね。

そのほかにも、ご入居者様の見守りや話し相手、レクリエーション、お茶やおやつのご提供など体に負担をかけずできる仕事はたくさんあります。

妊娠したから迷惑をかけると気に病みすぎず、できる業務に尽力して職場に貢献していきましょう。

妊娠・出産でもらえるお金

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妊娠・出産期には、国の制度でもらえるお金があります。

妊娠・出産にまつわる給付金

  • 出産一時金
  • 出産手当金
  • 育児休業給付金
  • 失業保険(失業給付金)


出産一時金

出産にかかる費用の負担軽減が目的となっています。

出産一時金は、自治体(国民健康保険)または勤務先の健康保険組合、協会けんぽ、共済組合等が担当機関となっています。
妊娠4ヶ月(85日)以上で出産した場合に、赤ちゃん1人につき、一律42万円が1回の出産に対して一括支給されます。
そのため双子の場合は84万円支給されます。

申請すると病院に直接支払われる場合も増えているので、手続きの際に確認してみてください。

出産手当金

出産手当金は、勤務先で健康保険に加入していることが受け取る条件となります。
出産のために仕事を休んでいた間の、生活保障を目的とした手当金です。

金額は、過去12ヶ月の標準報酬日額(標準報酬月額を30日で除して計算)の2/3に相当する額が支給されます。

また、受給対象期間は出産予定日の42日前から出産後56日目までの98日間。
出産予定日よりも遅れて出産すると、遅れた日数も加算されます。

さらに、多胎児の場合には産前は98日前からが対象期間となります。

育児休業給付金

育児休業給付金は、育児休業中に申請することでもらうことができます。

出産手当金の後、育児休業を取得した場合に国が給付金を支給し、生活を保障するための制度です。

子どもが1歳になったあとも、保育所に入れないなどの条件を満たすと1歳6ヶ月までの延長が可能。
さらに1歳6ヶ月になっても条件を満たせば2歳まで延長することができます。

失業保険(失業給付金)

妊娠・出産によって退職を選択した場合には、失業給付金が受け取れます。

失業給付金を受け取るには、就職活動をする必要があります。
出産後すぐに就職活動をすることが難しい場合は、受給を最長3年間延長できるので、ハローワークで申請しておきましょう。

妊娠・出産後のキャリアプランを考えておこう

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妊娠が分かったら、まず今後のキャリアプランをパートナーと共に考えておくことが大切です。

選択肢としては、現在の職場・職種への復帰、時短勤務、部署異動、退職などが挙げられます。
場合によっては、出産後のキャリアアップも視野に入れておきましょう。

復職するなら保育園探し、キャリアアップを目指すなら休職中に資格を取得するなど、今後に合わせてやるべきことも見えてくるはずです。

とはいえ、体調や状況の変化などにより、考えていたキャリアプランの通りにいくとは限りません。
その都度、キャリアプランを見直して対応していく柔軟性が必要になると理解しておきましょう。

チャームケアでは、産休・育休から復帰している社員も数多く活躍しています。
限定正社員制度による時短勤務など、出産・子育て中の方も仕事を続けやすい環境が整っています。

産後の復帰率は91%と高いので、社内に相談できる人が多いというのも心強いですよね。

妊娠だけでなく、体調に不安があれば柔軟に対応してもらえる可能性もあるので、まずは職場に相談してみることが大切です。

※産休・育休の際の働き方の対応に関する記事はこちら↓
妊娠中の女性だけでなく、体調不良などに対しても助け合いの風土があります。

男性の育児休暇実績もあります。
配慮は特別なことではなく、「困ったときはお互い様」の社風です。

介護スタッフが妊娠したら、周りの協力を得て無理せず働こう

介護職の方が妊娠した際のポイントを解説してきました。
主な内容は以下の通りです。

・妊娠がわかったらすぐに報告する
・体調の変化はすぐに報告する
・体に負担のかかる業務は避ける
・受け取れるお金の知識を得て忘れずに申請する
・キャリアプランを考えておく


妊娠することによって、周りに迷惑をかけてしまうかもと思うこともあるかもしれません。
ですが、一番大切な心身の健康を守るためにも、周りの協力を得つつ心身に負担をかけずに働くことを心がけましょう。

妊娠・出産・子育てでは何が起こるか分からないということを忘れず、仕事とマタニティライフの両立を楽しんでくださいね。

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