介護の専門性とは?

介護の専門性は複合的なものです。どれかひとつが優れていれば良いわけではなく、それぞれの要素がバランス良く必要になります。

専門性をしっかりと理解して実践に移すことで、介護スキルがおのずと向上し、ご利用者様・ご入居者様の満足度も上がります。

この記事では、介護の専門性を5つのカテゴリーに分けてお話しします。

介護の知識や技術

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介護の専門性で欠かせないのは、確かな知識と技術です。
正しい知識や技術を身につけることで、ご利用者様・ご入居者様が安全で快適に過ごすことができ、介護する側も負担をかけずに適切な対応ができます。

重要なのは、知識と技術どちらかだけではなく、その両方を兼ね備えることです。
知識とは、「わかる」「知る」こと。実際に教えてもらったり、目で見たり、本やインターネットで調べたりすることで知識をつけられます。

技術とは、「できる」「巧みに技を扱う」こと。
学んだものを実践で取り組むことで、技術として身につきます。

知識だけがあっても実践できないと意味がないですし、技術だけがあってもしくみや理論、根拠を理解しないと応用が利きません。
これら両方を兼ね備えることで、介護職で欠かせない専門性が身につけられるのです。

そのためには情報収集する・経験を積む・疑問に思ったことを考える・わからなければ先輩に質問することが大切です。

日々、介護をする中で、つい業務に追われて「あっという間に1日が終わってしまった」ということもあるでしょう。
そんな中でも「あの時はどのように対応するのがベストだったのだろう」「わからなかったから調べてみよう」などと、振り返りをする癖をつけておくと、着実に知識と技術が積み重なります。

一方で、ご利用者様・ご入居者様の身の回りのすべてのことを、何から何まで介護者が行うのはよくありません。
そうすることで、ご利用者様・ご入居者様の能力の維持や向上を妨げてしまうからです。
介助をしているとつい手を差し伸べたくなりますが、助けるだけではなく、時には見守ることも大切なのです

予見可能性

予見可能性とは、ある出来事が予想できたかどうかの可能性のことです。
たとえば歩行介助する場合、事前に滑りやすい場所はないか、つまずきやすい部分はないか把握し、対処できていれば転倒のリスクは低くなります。

ご利用者様やご入居者様の安全を守るために、予見可能性はとても重要です。
予見可能性があったにも関わらず、適切な対応を怠った場合は、過失が問われることもあります。

予見可能性の専門性を高めるには、周囲をよく見て「この場所は危険かもしれない」「もしかしたら転んでしまうかもしれない」と仮説を立てることです。
「きっと平気だろう」と安易な考えをせず、少しでも危険を感じたら、リスクを避けなければなりません。
 
さまざまな経験を通して、予見可能性を高めることができれば、ご利用者様やご入居者様の安全が確保でき、満足度も上がるでしょう。

傾聴力

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傾聴力とは、お話をただ聞くだけではなく、相手の表情や声のトーンなどから気持ちを汲み取り、内容を真剣に理解することです。

誰しもが「自分の話を聞いてもらいたい」という承認欲求がありますが、特に高齢者の方は社会との関わりが少ない方も多いため、きちんと話を聞いてもらうことで精神面に作用し、安心感を得ることができます。
話を聞いてもらえるということは、相手を受け入れている証拠でもあり、信頼関係ができます。

傾聴力はご利用者様・ご入居者様だけではなく、職員との関係にも言えることです。
スタッフ同士のコミュニケーションがうまくいくことで、連携が取れ、スムーズに仕事ができます。

傾聴力を高める上で大切なことは、相手の話を否定しないことです。
自分が話をしている途中に「でもそれって…」「違うと思う」と否定されると、誰しも気分が悪いですよね。
相手の目を見ながら熱心に話を聞き、「そうですよね」「その気持ちわかりますよ」と肯定してもらえると、嬉しいはずです。

さらに、話を最後まで聞くことも大切です。
高齢になると言葉がうまく出てこない方や、話すペースがゆっくりな方もいます。
つい言葉を挟んでしまったり、途中で話をさえぎったりすると、お話したいという気持ちがしぼんでしまうものです。
じっくりとお話を伺うことで、「またあなたに話を聞いてもらいたい」と思っていただけます。

現場は忙しいですが、最初から最後までゆったりとした気持ちで聞き、傾聴力を高めましょう。

観察力

観察力とは、物事をじっくりと観察し、その変化を感じる力のことです。
介護の仕事では、高齢で体が自由に動かない方や、認知症で自分の意思を伝えられない方もいらっしゃるので、ご利用者様・ご入居者様の代わりになって適切な判断、対応をしなければなりません。

観察力を身に付けるには、相手に興味を持つことが大切です。
なぜなら、相手を知らないと、いつもとの違いを判断できないからです。
そのため、表情やしぐさから「今日は下ばかり見ている」「声に力がなさそう」「食事が進んでいない」など、普段とのちょっとした違いから、体調や精神状態を把握できるように努める必要があります。

介護をする上で、物事を客観的に捉えることも重要です。
「いつもこうだから」「怒りっぽい方だから」などと主観的な目線で決めつけず、「こうした方が良かったのかな」「もしかしたら体調が悪いのかも」と予想することで適切な対応を取ることができます。

ご利用者様・ご入居者様に常に関心を持つことで、気持ちを汲み取ることができ、適切な声かけやサポートに繋がるのです。

チームワーク

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介護は、ご利用者様・ご入居者様と介護職員のふたりの関係性はもちろん、職員同士のチームワークも必要な仕事です。

施設・ホームにいらっしゃる全員のご利用者様・ご入居者様をサポートするには、ひとりの力だけでは足りないのです。
スタッフ全員で協力し連携を取ることで、スムーズに事が運び、ご利用者様・ご入居者様の満足度が上がります。

そのためには、普段からスタッフ同士でコミュニケーションを取ることが大切です。
仕事の話以外にも、相手の興味がありそうなことを質問したり、仲間の良い部分を素直に伝えたりすると、信頼関係も生まれやすくなります。

特に新人スタッフやコミュニケーションを取るのが苦手な人には、積極的な声かけをすることで、気軽に相談しやすい雰囲気ができます。

一方、仕事をする中でお互いの意見が合わず、ぶつかってしまうこともあるでしょう。
しかし、一人ひとり違う人間なので意見が合わないのは当たり前です。
仲間を理解しようと心掛け、「あなたはこう思うんだね」「私はこう思う」と冷静に伝えあいましょう。
お互いに尊重する気持ちを忘れずにいられれば、意見が食い違っても良い関係性でいられます。

苦手なところは補い合い、得意なことは積極的に助け合えると、良いチームワークが生まれ、ご利用者様・ご入居者様のサポートが円滑に進みます。

まとめ

この記事では、介護の専門性について解説しました。
移動や食事、入浴や排泄の介助などの、介護職として表に見えている仕事の根底には、いくつもの専門性が必要です。

知識や技術・予見可能性・傾聴力・観察力・チームワークの専門性を身につけるには、日頃から「どのようにしたらご利用者様・ご入居者様が快適に過ごせるのか」ということを意識して仕事をするのが大切です。
ぜひ専門性を極めて、レベルアップした介護を目指しましょう。

この記事の監修・アドバイザー

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大野世光(おおのひろみつ)

2017年10月1日、株式会社チャーム・ケア・コーポレーションに入社。
介護系大手企業でスーパーバイザーなどを歴任し、
チャーム・ケア・コーポレーションのホーム長を経て、
教育研修室にてスタッフの教育を実施。
2022年7月から、教育研修部副部長 兼 介護DX推進課長に就任。
介護支援専門員資格、社会福祉主事任用資格を所持。

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