オープン2年目のチャーム水元公園が介護研究発表会に初参加

――まず、お二人のご経歴を教えてください。

渡邊:
私はチャーム水元公園のオープン時から勤務しています。以前は仙台で約6年間介護職として働き、東京へ引っ越したタイミングでチャームケアへ入社しました。介護業界での経験は約9年になります。

坂本:
私は病院で看護助手として約4年間勤務した後、2025年2月にチャーム水元公園へ入社しました。看護助手は看護師のサポート役として身体介助なども行うので、介護職とも共通する部分が多くありました。

渡邊:
チャーム水元公園は、2024年5月にオープンしたホームです。オープニングスタッフが中心のホームのため、他のチャームケアのホームでの勤務経験があるわけでもありません。今回の取り組みは、介護研究発表会そのものを知るところからのスタートでしたね。

※昨年の介護研究発表会で会長特別賞を受賞したチャーム奈良公園の、週休3日制の導入についての記事はこちら

「3:0.9」実証事業をきっかけに始まった業務改善

――介護研究発表会では、どのようなテーマに取り組まれたのでしょうか。渡邊さんと坂本さんの役割についても教えてください。

渡邊:
研究テーマでもある業務改善は、チャーム水元公園が、有料老人ホームの人員配置基準を3:1から3:0.9へ緩和する実証事業の対象ホームに選ばれたことをきっかけに始まりました。

有料老人ホームでは通常「介護スタッフ1人に対して利用者3人」という配置基準があります。今回の実証事業では、ICTなどを活用することで、2024年度介護報酬改定で示された「3:0.9」の新たな人員配置基準を適用できるかを検証しました。

「3:0.9」の人員配置基準を満たすには、ICT機器の活用や職員の役割分担など、一定の条件をクリアする必要があります。
これを受けて、「限られた人員でも、ご入居者様へのサービス品質を維持しながら、効率よく働ける環境をつくるにはどうすればいいか」を考えるところから始まりました。

2025年8月から12月まで約半年間にわたり、業務内容を分析しながら改善を重ねていきました。「スタッフが本来行うべき介護に集中できる環境を整え、ご入居者様にもより良い時間を提供すること」をメインテーマに、改善案を検討していきました。

坂本:
私たちは、改善案を洗い出したり、フィードバックを取りまとめたりと、実務を担当しました。統計は本部の介護DX担当者が担当くださったので、連携しながら分析を進めました。

※ご参照:令和6年度介護報酬改定における改定事項について(厚生労働省)

※人員配置基準について詳しくはこちら
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「介護職でなくてもできる仕事」を見直し、介助業務に集中できる環境へ

――実際に行った改善について、お聞かせください。

渡邊:
業務分析の過程で、直接介護(ご入居者様のお身体に直接触れて行う介助業務)と間接介護(介助業務の準備や後始末など、ご入居者様のお身体には直接触れない業務)にかかる時間を比較してみると、ほぼ同じだとわかりました。

介護スタッフの業務の中に、介護の資格がなくてもできる仕事がいくつか紛れていたんです。「この仕事は介護スタッフでなくても良いかもしれない」と感じた業務を、生活補助スタッフにお願いすることで、介護スタッフの業務負担を軽減しました。

具体的には、お食事の際のお茶やコーヒーの準備や、入浴介助後の浴室清掃、ゴミの回収です。

坂本:

最初は生活補助スタッフも少し戸惑っていましたが、自分たちでスケジュールを工夫しながら対応してくださり、今では非常にスムーズに運用できています。

介護スタッフはご入居者様と向き合う時間が増え、ホーム全体の動きも効率化されました。また、空いた時間を活用して、以前は月一だったカンファレンスも毎日実施できるようになりました。

それまでは情報端末の記録のみで、それぞれが確認することが多くありました。今では事故の振り返りやケア方法の共有などをその場で話し合えるようになり、情報共有の質も大きく向上しました。

ICT活用で服薬管理を改善。介護スタッフの負担を軽減

――研究の中で特に効果を感じた取り組みはありますか。

渡邊:
特に大きかったのは服薬管理です。
以前は薬をダブルチェックしながら一人ずつ配薬していたため、スタッフが2名揃わなければ業務が進まない場面もあったんです。また、お薬を2〜3名分まとめて運ぶため、薬の取り違えが起こるケースもありました。

そこで、服薬管理システム「服やっくん」を導入したところ、一人でも安全に服薬介助を行えるようになったんです。食札と薬の袋にバーコードをつけて、システム上で一致を確認するようになりました。

それまで食後のダイニングでは「薬持って来て〜」「こちらも!」と、ご入居者様の声が飛び交っていたのですが、そういったバタバタも解消されました(笑)。同時に薬カートも導入し、一度に薬を持ち出すようにしたところ、ご入居者様から当日の担当者が「薬屋さん」と呼ばれるようになりました。少し和みますよね。

以前ホーム長が「お薬の事故は100%スタッフの責任」と、よく口にしていたのですが、今回の改善で、誤薬のリスクが減っただけでなく、スタッフの心理的負担も大きく軽減されたと感じています。
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ご入居者様の協力が業務改善につながった

――ご入居者様に何か変化はありましたか。

坂本:
実は、ご入居者様にもお茶やコーヒーをセルフサービス形式でお願いする取り組みも始めました。当初は反対意見もあるのではと心配していましたが、蓋を開けてみると快く協力してくださる方が多かったんです。

同じテーブルの方の分も持っていってくれる方がいらっしゃったり、「介護スタッフも大変でしょ。それくらいやるよ。」と気遣ってくださる方がいらしたりと、嬉しい誤算でした。

なかには「好きなタイミングでコーヒーが飲めるようになって嬉しい」というお声もありました。ホームのレクの時間や外出できる散歩を楽しみにされているご入居者様は多くいらっしゃいます。
ご入居者様自身も、自分でできることが増えて、生活の楽しみにつながっているように感じています。

みんなの力で獲得できた最優秀賞

――介護研究発表会を振り返っての感想と、今後の目標をお聞かせください。

渡邊:
約半年間にわたる業務改善の結果、チャーム水元公園はチャームケアが運営する首都圏エリアのホームで初めて3:0.9の人員配置基準をクリアし、介護研究発表会でも最優秀賞を受賞しました。
今回の取り組みは、私たち二人だけで進めたものではありません。スタッフ全員の協力があったからこそ、良い結果につながったのだと思います。

発表会では他ホームのスタッフから「すごく参考になった」という声をいただいたり、本社の方々から高く評価していただいたりと、お褒めの言葉をたくさんいただきました。私たちも非常に達成感を味わうことができましたね。

実は前のホーム長や本部の担当者の方から「介護研究発表会、大賞受賞できるよ!!」と何度か言われていて、少しプレッシャーを感じていたので、最優秀賞を獲得できて正直ホッとしたところもあります(笑)。

坂本:
最優秀賞をいただけたことも嬉しかったですが、それ以上にホーム全体で協力して取り組めたことが一番の成果だと思っています。効率化が図れたことで、ご入居者様とのコミュニケーションに時間を充てられるようになりました。
今後も改善できることは、まだまだあると思います。毎日のカンファレンスの中から改善の種を見つけて、さらにご入居者様の満足度を高めていけるように、これからもホーム全員で挑戦を続けていきたいですね。
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