介護ロボットとは

厚生労働省では、ロボットを「情報を感知する(センサー系)」「判断する(知能・制御系)」「動作する(駆動系)」という3つの要素技術を備えた、知能化された機械システムと定義しています。

こうしたロボット技術を応用し、ご利用者様の自立支援や介護者の負担軽減に役立つ介護機器のことを「介護ロボット」と呼びます。

具体例としては、ベッドや車椅子への移乗時に介護スタッフが装着し、持ち上げる動作をサポートする装着型パワーアシスト、足が不自由なご利用者様の自立歩行を支援する歩行アシストカート、認知症の方や睡眠時の眠りの状態を確認する見守りセンサーなどが挙げられます。

※出典:厚生労働省 介護ロボットの開発・普及の促進

現在の介護ロボット導入状況

公益財団法人介護労働安定センターの「令和6年度 介護労働実態調査」によると、介護業務用アプリが使用できるタブレット端末やスマートフォンなどのICT機器は、全体の約50%の事業所で導入されており、一定程度普及が進んでいることが分かります。

一方で、介護ロボットの導入状況を見ると、入所型施設で利用されている入浴支援用の介護ロボットでも導入率は8.4%にとどまり、10%未満という結果でした。

介護ロボットの活用は、介護職の人手不足を補う有効な手段として期待されているものの、現状では導入に高いハードルがあることがうかがえます。

※出典:公益財団法人 介護労働安定センター「令和6年度 介護労働実態調査」
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介護ロボットが普及しない理由

介護ロボットが普及しない理由について確認していきましょう。

高額な導入コスト

介護ロボットの導入には高額な費用がかかることが多く、あらかじめ十分な予算を確保する必要があります。初期導入費用だけでなく、保守・点検や更新などのランニングコストも見据えた計画が欠かせません。

また、現時点では費用対効果が明確になっていないケースも多く、とくに小規模な事業所や施設では、導入に踏み切りにくいという背景があります。

介護ロボットに関する情報・認知の不足

厚生労働省からは、介護ロボット導入に関する事例が随時紹介されていますが、実際に目にする機会が少なく、認知度が十分に高まっていないことも、導入が進まない要因の一つと考えられます。

また、成功事例は更新されているものの、導入にかかる具体的な費用については、施設ごとの条件や状況が影響するため、詳細が示されていないケースが多いのが現状です。
そのため、費用面でのイメージがしづらく、不安を感じてしまう可能性があります。

※参考:令和6年度「介護ロボット等のパッケージ導入モデル(改訂版)~介護ロボット取組事例集~」

介護職員のITリテラシーへの不安

介護ロボットに限らず、新しい介護機器を導入する際には、使いこなせるようになるまでに時間がかかることや、忙しい業務の合間にマニュアルを確認する負担が大きいといった課題があります。

とくにテクノロジーを活用した介護ロボットの場合、「操作が難しそう」「本当に使いこなせるだろうか」と不安を感じる介護スタッフも少なくありません。
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介護ロボット導入のメリット

介護ロボットが普及しない要因について確認してきましたが、介護ロボットの導入によってどのようなメリットがあるのかを解説します。

介護職員の負担軽減につながる

前述した装着型パワーアシストは、ご利用者様をベッドや車椅子へ移乗する際に使用することで、介護スタッフの身体的負担を軽減します。
特に腰への負担を和らげ、腰痛に悩む介護スタッフの腰痛予防に効果が期待できます。

また、睡眠時の見守りセンサーを導入することで、夜間の見まわり回数を減らし、業務の効率化が図れます。
業務効率化は介護スタッフの労働環境の改善をもたらし、身体的な負担だけでなく、人手不足による業務過多が原因となる精神的な負担の軽減にもつながります。
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介護サービスの質の向上が期待できる

介護ロボットを活用して業務の効率化を図ることで、これまで十分に手が回らなかった業務や、より多くの時間を割きたいと感じていた業務に取り組む余裕が生まれます。
ご入居者様とのコミュニケーションの時間も確保しやすくなり、介護サービス全体の満足度向上が期待できます。

また、人的介助サービスは介護スタッフごとに対応の差が出たり、体調や経験によって質にばらつきが生じたりする場合があります。
一方、介護ロボットによる介助は一定の品質を保ちやすく、安定したサービスを提供できる点も大きなメリットです。

※チャームケアは介護ロボットの知識も含まれる「スマート介護士」の資格取得にも積極的です。

介護ロボット普及への解決策

大いにメリットが期待できる介護ロボットを普及するためには、課題を解決する必要があります。それぞれの課題に対する解決策を確認していきます。

補助金・助成金を活用して導入コストを抑える

厚生労働省によると、介護テクノロジー導入支援事業として、移乗支援・移動支援・排泄支援・見守り・入浴支援など、厚生労働省・経済産業省で定める「ロボット技術の介護利用における重点分野」に該当する介護ロボットの導入にあたっては、一定の要件を満たすことで、上限100万円(移乗支援・入浴支援ロボットの場合)まで補助金が受給できます。

介護テクノロジー支援事業については、介護ロボットだけでなく介護ソフトやタブレット端末などの周辺機器やテクノロジー導入にかかる通信環境整備も補助の対象となります。

※出典:厚生労働省 介護テクノロジー導入支援事業

介護ロボットに関する情報を積極的に収集する

厚生労働省が発信する介護ロボットに関連する情報にアンテナを張って、自発的に情報収集を行うことも重要です。

現在は「ニーズ・シーズマッチング支援事業」として、全国の介護現場が抱える課題(ニーズ)と、開発企業が持つ製品や要素技術などを結びつける新たな取り組みも進められています。

介護技術やロボット技術の専門家から助言を受けられるほか、介護ロボット開発に向けたマッチング支援を受けられる点も特徴です。こうした支援制度への注目度も、今後さらに高まっていくでしょう。

※出典:厚生労働省 マッチング支援事業

介護スタッフのITリテラシー向上につながる取り組み

介護ロボットを導入するには、介護スタッフのITリテラシー向上が欠かせません。
介護テクノロジーに強い人材を育成するためには、介護ロボット開発事業者が開催するセミナーや研修に参加することも有効な方法のひとつです。

また、場合によっては介護テクノロジーに精通した外部人材を招き、介護スタッフのITリテラシー向上を目的とした講習を実施するのも良いでしょう。
テクノロジーに不慣れなスタッフでも理解できるよう、分かりやすい資料を用意するなど、導入のハードルを下げる工夫も重要です。
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介護ロボット普及の重要性

介護ロボットの普及は、介護業界における2つの大きな課題:介護サービスニーズの高まり・介護スタッフ不足を解決する一助になるはずです。
いち早く導入に成功した介護事業所の成功例や、厚生労働省から発信される介護ロボットの情報をタイムリーにキャッチし、一つずつ課題を解決していく必要があります。

それぞれの介護事業所が介護ロボットの導入を自分ごととして捉え、1台でも多く介護ロボットを導入することが介護業界の明るい未来につながっていくでしょう。

※チャームケアはテクノロジーを活用した介護DXへの取り組みで業界を牽引しています。

この記事の監修・アドバイザー

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長瀬 大樹(ながせ だいき)

2018年4月、株式会社チャーム・ケア・コーポレーション入社。
現場で長年介護スタッフとして従事。生活相談員、副ホーム長、ホーム長を経験。
その後、教育研修課、人材開発課にて新卒採用担当、近畿圏に異動し教育研修課として勤務中。

専攻・活動
コミュニケーションワークとキャリア教育を重視した研修カリキュラムの構築に従事。
現場のスタッフと一緒に問題解決することをモットーに、研修室ではなく【現場】に赴き研修・OJTの実践に取り組んでいる。

資格
介護福祉士、国家資格キャリアコンサルタント

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